
もともと江戸時代中期まで秋田藩主への上納品であったため、一般庶民に手が届くシロモノではなかったとされています。庶民の味として、かの地で親しまれるようになったのは明治時代のことだとか。
稲庭町の佐藤養助商店がつくる稲庭うどん。藩主への上納品だったころから、稲庭うどんをつくってきたのは稲庭吉左エ門を宗家(そうけ)とする御用職人でした。佐藤養助商店は、その稲庭家の系譜に位置する、いわば稲庭うどんの正統後継者なのです。
通常、うどんは包丁で切ってつくるのが主ですが、包丁を使わずに手で伸ばしてゆくのが稲庭流だそうです。ことほど左様に、佐藤養助商店にてつくられる稲庭うどんは、職人の手づくり。全工程にはなんと三日ほど費やすとのことですが、それだけの時間を掛けてこそ、強いコシが生まれるのです。

工程はもちろんのこと、材料の選定から出来上がったうどんの検(あらた)めまで、モノを言うのは職人の熟達した目と手。たとえば湿度は日ごとに変わるため、うどんの乾燥時間もその都度調整して変えなければいけません。
2013年には台湾にも進出した佐藤養助商店ですが、やはり秋田県に伝わる、歴史あるうどんですから、秋田県を訪れて食べるのが王道かと思います。