日本語 | English

■ 12月31日から1月30日にかけて、「お菓子」をフィーチャーします。







Atom_feed
コアラのマーチ
コアラのマーチってどう?

LINEで送る

先生(以下、S):こんにちは。寒くなってきましたね。皆さん、風邪などには気を付けてください。今回は、アシスタント(=A)と一緒にお菓子についてああだこうだと述べていきたいと思います。こういう形式でお菓子について語るのは、ええと━━チョコビ以来かな?

A:そうですね、二〇二三年のあの時が最後でした。今回は何についてやるんですか、先生?

S:コアラのマーチですね、ロッテの。

A:結構ベタというか、ポピュラーなやつが来ましたね、先生。

S:いや、チョコビの時にさ、クレヨンしんちゃんに触れたじゃない。そこで「野原しんのすけが好きなお菓子は、原作ではコアラのマーチだった」みたいな話になったでしょ? だから次にお菓子をフィーチャーするなら、コアラのマーチをやるべきかなとね、薄々思ってはいたんですよ。

A:ウソですよね、先生。

S:はい。単なる偶然で、今思いついた話です。まぁそれはともかくとして、コアラのマーチってどう? 日常的に食べる?

A:日常的には食べないですね。たまに誰かと集まった時とかに誰かが買ってたら、それを広げて食べるとかはありますけど、一人では食べないです。グミとかなら食べますけど。ってもしかして私のパターンが一般的になっていて、コアラのマーチも売上が下落傾向にあるとかですか、先生?

S:いや、コアラのマーチ単体の売上は分かんないけど、ロッテによると、同社のチョコレート事業全体の売上は今年(二〇二四年)の上期(四~九月)に過去最高値をマークしたらしい。それを牽引したのがコアラのマーチかどうかは藪の中だけど、今も全国で売られているわけだから、少なくとも同社の足を引っ張っているとかではないと思う。

A:へえ、堅調なんですね。やっぱりファミリー層に一定の割合で人気があるということなんでしょうか、先生?



コアラのマーチ

S:独身の私にそんなことを訊かれても途方に暮れるしかないのですが、まず「そもそもコアラのマーチとは何か」を述べたいと思います。コアラのマーチの販売開始は一九八四年の三月。余談ですが、私も同年同月に生まれました。この年は日本が初めてコアラを輸入した年なんですね。鹿児島、愛知、東京の動物園に二頭ずつ、計六頭のコアラがオーストラリアから運ばれてきました。それまで日本の動物園にはコアラなんていなかったんですね。オーストラリア政府が長いこと「コアラを海外に輸出してはならん」と禁止令を出していたという事情があって。それが法改定されて、日本に輸出されることになったのが八〇年代前半です。

A:つまりコアラを待ちわびる空気が当時の日本で醸成されていて、ロッテはその「コアラ・フィーヴァー」に乗じたということですか、先生?

S:おそらくね。前年の一九八三年には東京ディズニーランドが開園したんだけど、その際には森永製菓がミッキーマウスの絵がプリントされたお菓子を便乗的に出したこともあった。今も昔も、ちょっと人気が出たキャラクターをお菓子にプリントして客を誘い寄せるのは変わりないんだね。悪く言えば、進歩がないとも言えるんだけど。

A:でもコアラの人気なんて、泡沫な感じじゃなかったんですかね。〇〇年代初めにアザラシのタマちゃんが全国的に人気を博しましたけど、あれだって、〇〇年代の半ばには忘れ去られていたでしょ。日本人の多くは、良くも悪くも熱しやすく冷めやすい。だったらコアラのマーチも、時代の徒花として消えておかしくなかったと思うんですけど、先生?

S:当時のコアラ・フィーヴァーの消息はよく分からないです。なにしろ私は当時赤ん坊だったわけですから。ただ実際のコアラとは別に、コアラのマーチにあしらわれているコアラが独自に支持を集めたということはあるんじゃないかな。コアラのマーチというのは、今も昔も、小さいチョコ入りビスケットにコアラのイラストがプリントされているわけだけど、やっぱりこのイラストのコアラの可愛さが、人気の主な要因だろうし。

A:消費者は、味は二の次だと考えているということですか、先生?

S:そこまでは言わないけど、コアラのマーチのビスケット部分について論う論客とか、チョコレートの風味についてウンチクを垂れる美食家とか、少なくとも私は見たことないからね。価格だって、〇〇年頃には税別百円で内容量は六〇グラム以上あったのに、今や四八グラムで百数十円する。そりゃ全体的に物価は高騰しているわけだから、値上げは仕方ないよ。だけどそれで内容量を減らすのはちょっと悪質でしょう。でも消費者から文句の声は上がらないし、売上高も堅調だと。だったら「消費者は可愛いコアラがプリントされていればなんでもいいんだな」と結論づけるしかないじゃないですか。

お口の恋人 ロッテ




 

おばあちゃんのぽたぽた焼
新潟の高齢女性のあり方を問う

マルセイバターサンド
これは「帯広のお菓子」である