前田さんの茶師としての技能は、肩書きが語るのではありません。お茶を見続け、その茶葉がどういう特性を持ち、製茶作業を経てどういう仕上がりになるのかを見極める、という所にあるのです。平たく言えば、良いお茶を作れる、ということです。

前田文男さん(前田幸太郎商店前にて)
『緑の雫』は、そんな前田さんを有する前田幸太郎商店の看板商品。つまり、名人・前田さんのセンスが凝縮された逸品です。地元、静岡の静岡茶をはじめとするいくつかのお茶を独自にブレンドし、香り、甘み、渋みなどの、お茶に求められる要素が、調和が取れた仕上がりになっています。

品種: やぶきた
茶種: 煎茶
価格: 1,000円(100 g)
おすすめの浸出時間: 50~60秒
前田さんは「ウチのコンセプトですが、優しいお茶を作りたい。煎茶で言うと、そのお茶の品格が一番出るように仕上げたいと思っています」と語られました。品格が一番出る、とは、その茶葉が持つ本質を見極め、適宜、その魅力を最大限に引き出し合って美味となす、ということでしょうか。結果として、飲む人がホッとするような、優しい煎茶になる、と。
と、御託を並べるより、飲むのが一番。優しい煎茶と言いましたが、お茶の味は水(お湯)でも左右されます。渋みの元であるカテキンは、80度以上のお湯で多く溶け出すとか。つまり80度以上のお湯で淹れると、渋さが増すわけです。自然、『緑の雫』は70~75度で飲むのが望ましい、と言えます。沸騰直後のお湯は約100度。お湯は容器を移すごとに5~10度下がるとされますから(器の材質にもよります)、上手く70~75度で『緑の雫』を淹れてみて下さい。まろやかな優しいお茶を、実際にご理解頂けると思います。