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■ 11月30日から12月30日にかけて、「味噌」をフィーチャーします。







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味噌かつ
「中京圏の郷土料理」?

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味噌かつと言えば、愛知県は名古屋で有名な、いわゆる「名古屋メシ」の一つである。そういうイメージをお持ちの方が、おそらくは圧倒的多数であろうと思う。しかし2015年、そこに異を唱える本が上梓された。実は味噌かつは三重県発祥のものであった━━と。



味噌かつ定食
File: Miso-Katsu-Teishoku-1.jpg
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2020年1月26日)

と、矢継ぎ早にまくしたてたものの、「そもそも味噌かつって何?」という人だっているかも知れない。何を知っていて何を知らないかは、結構、個人差が激しいものである。広い世間には、キクラゲを海中生物(クラゲの仲間)だと思い込んでいる人だっているだろうし、ランゲルハンス島を地中海か大西洋かに浮かぶ小島みたいに思っている人だっているかも知れない。まぁ別にそれだからどうということもないのだけど、取り敢えず順番に説明して行こう。

味噌かつとは何か?

とんかつに味噌をかけた、愛知県の郷土料理です。もう少し詳しく言うなら、八丁味噌などの豆味噌をベースにしたタレを、こんがりとキツネ色に揚がったとんかつに掛けた料理である。八丁味噌とは、愛知県岡崎市を中心に作られている愛知のご当地味噌。日本の多くの地域では、味噌といえば米味噌が主流であるが、愛知は豆味噌なんである。

「愛知と言えば豆味噌」であり、だからこそ「愛知の人はなんにでも味噌を掛けたがる」てな風にも言われたりする。実際にはやはり個人差があるもので、味噌が嫌いという愛知県民もいるとは思うけれど、それでも地域の特色として「愛知と言えば豆味噌」は揺るぎない。それで味噌かつも愛知の特産品である味噌を活用した郷土料理としてポピュラーになったのだろう。



醸造中の八丁味噌(愛知県岡崎市)
File: Kaku-q Hacchomiso-no-sato 03.JPG
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2015年5月21日)

なるほど、味噌はそうだとして、愛知は豚の名産地なのだろうか? 農林水産省の「畜産統計」によると、豚の飼養頭数トップ5は鹿児島、宮崎、千葉、群馬、北海道で、愛知は辛うじて10位にランクインしている(2018年)。まぁたこ焼きで有名な大阪とて、たこの漁獲量で言えば全国23位(海面漁業生産統計調査、2013年)なのだから、生産量と食文化は必ずしも相関しないのかも知れない。

さて、ところが上述のように、2015年に、『三重「地理・地名・地図」の謎』なる本が実業之日本社から出版された。その中には、味噌かつの発祥は愛知ではなく三重県津市であると記述されている。

言うまでもなく、三重は愛知の「おとなりさん」である。愛知と三重を分けているのは、行政官の都合で人為的にひかれた境界線でしかないから、三重と愛知に共通する文化があること自体は、特に不思議ではない。とんかつに掛けるタレも、三重と愛知では微妙に異なるらしいし。

ただ、そうなると「味噌かつは三重県の郷土料理でもある」になってしまう。厄介なのはここである。私は味噌かつをどうやって紹介すりゃいいんだ? 真偽は定かではない。愛知かも知れないし、三重かも知れない。まぁ取り敢えず「中京圏の郷土料理」としておくのが妥当であろうと思う。世の中、なんでも白黒はっきりつけられるわけじゃないんだし。

ちなみに、とんかつが日本に根付いたのは明治時代と言われている。もともとはヨーロッパ地方の、コトレット(イタリア)やコトレータ(ロシア)などの料理をベースにした、いわゆる「洋食」であった。それが帝国陸軍の兵隊食に取り入れられたり、関東の定食屋で人気を博したりしながら、大正から昭和にかけてだんだんと和食化していったらしい。

大正時代と言えば、思いつくのは関東大震災(1923)である。おそらく被災者のうち何割かは、関東に留まり、復興に尽力したであろう。しかし何割かは関東を離れたはずである。その関東から避難した人達によって、とんかつ文化が中京圏に持ち込まれたのかも知れないな、と思ってみたりする。もしかしたら全く的外れかも知れないけど。





 

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