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■ 8月31日から9月29日にかけて、「日本のアイス」をフィーチャーします







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モナ王
モナカ生地の中にアイス、That's all!

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前回、森永製菓のアイス「チョコモナカジャンボ」についての記事を草した。その中で、もともとは1972年に「チョコモナカ」として世に出たアイスを1996年にグレードUPしたのが「チョコモナカジャンボ」である、みたいな説明をした。そして、そのアイスがなぜ21世紀においてヒットしたのかを考察した。

実を言うと、あの記事の中で触れなかった要素がある。それは1995年からロッテが製造、販売しているアイス「モナ王」の存在である。これは、モナカ生地の中にアイスクリームを詰めたタイプのアイスで、つまり「チョコモナカジャンボ」の類似品である。乱暴に言うなら、「チョコモナカジャンボ」からチョコを綺麗に抜き取れば「モナ王」である。

おそらくロッテは公的には否定するだろうが、「モナ王」は森永製菓の「チョコモナカ」へのカウンターと見ていいと思う。



1995年、4年前のバブル崩壊のあおりを受けてだろう、アイス業界の景気もまた全体的に下向きになっていた。日本企業の資産は目減りするばかりで、世間にはまたいつか景気が上向くこともあるだろうと信じる人も多数いたが、実際に保有資産が不気味な下落を続ければ、どうしたって不安はぬぐいきれない。ちなみに、前年にあたる1994年の流行語大賞は安達祐実の「同情するならカネをくれ」だった。1995年とはそういう状況で、そこでロッテが市場に投下した「モナ王」に、おそらく森永製菓は内心ひどく焦ったのではないかと思う。

「あいつらチョコ抜いてきやがった」
「モナカにバニラアイスだけとかマジか。その手があったか」
「ていうか、うちらヤバくね?」

もちろん、これはあくまで私の想像である。しかし、いわゆる「競合商品」が現れて、森永製菓が焦るのはむしろ当然ではないか━━焦らない方がおかしいとまでは言わないが。そこで森永製菓は、翌1996年に、かつての「チョコモナカ」のグレードUP版感を前面に出した「チョコモナカジャンボ」を打ち出した。こう邪推してもそこまで奇天烈ではないと思う。

つまり、本来的には「チョコモナカ」へのカウンターだった「モナ王」に対抗する形で、森永製菓は「チョコモナカジャンボ」への改変をおこなったのではないかということである。カウンターに対するカウンター。前回の記事では、そういう要素には全く触れていない。

では、「モナ王」は「チョコモナカ」の亜流に過ぎないのだろうか?


ささやかな私事であるが、私の父は「モナ王」派である。「チョコモナカジャンボ」のセールス・ポイントであろうあのパリッとした板チョコは、父にとってはむしろ邪魔に感じるらしい。チョコとか要らん、モナカとアイスだけでいい。父のそういう要望を受け、私は最寄りのドラッグ・ストアで「モナ王」を買い求めた。2020年の8月。封を開け、スイカをかじるようにしょりっとかぶりつきながら父はこう言った━━「こういうシンプルなんでええねん」。

何の話だ、と思われるかもしれない。「モナ王」は中のアイスのクオリティにこだわっており、かたや「チョコモナカジャンボ」はチョコとアイスとモナカ生地のハーモニーや食感にこだわったものだということである。両者は似て非なるもの。そして世の中には、「モナ王」のシンプルな持ち味に軍配を上げる人だってそれなりにいるのではなかろうか、と私は自分の実生活から思うのである。

2020年9月現在、「モナ王」のアイス・フレーバーはバニラと宇治抹茶の2種類が展開されている。

お口の恋人 ロッテ




 

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