実のところ、福岡で中心部に行けば行くほど、博多弁を聞きません。たまたまだと言われるかもしれませんが、人口と方言の使用頻度が反比例しているのだとお見受けしました。在所(ところ)の人にいわく「博多弁は筑後(地方)の方が一番強い」のだとか。ふぅん。あと地元の人はそんなに明太子を食べないそうです。
海の中道公園(提供:福岡市)
現地レポばっかで、ちっとも調味料の話が出てこんじゃないか、いったい何が言いたいんだと思われるかもしれません。要するに都市化された空間においては文化の均質性などは望めないということです。すなわち福岡県内ではどんな調味料があるのかについては「福岡の調味料」と一口では言い切れないほど、多様化あるいは細分化されているわけです。主流が希薄と言いますか。
そんな福岡ですが、ひとつ目に付いたのは卵かけご飯専用の醤油があること。卵かけご飯を好きな人が多い文化圏なんでしょうか。いや、よく見ると卵かけご飯のみならず、食パン用の醤油、ヨーグルト用の醤油なんてのもあります。
また店頭では醤油に濃口、淡口があるのはもちろん、その中でも辛口や甘口、中辛などがあります。醤油の細分化が止まらないのでしょう。
「卵かけ御飯専用醤油 100ml」(久原本家)税込432円
更には、福岡市中央区天神には各地の美味な醤油を集めた、世にも珍しい醤油テイスティング・バーがあり、そこには醤油ソムリエも在籍しています。このソムリエさんが主宰する九州醤油研究会なんてものまであるそうです。
ここまで来ると塩分の摂りすぎをついつい心配してしまいますが、福岡という土地は醤油にうるさい土地であると言って良いかと思います。ユニークな醤油をお求めであれば、一度は訪れなければならない土地でしょうね。ネットには出店しておらず、店頭でのみ販売という醤油も数多くありますから。