地質学的に言えば、宮崎は土壌が火山灰質のエリアが多く、稲作には適さない。そのため、第一次産業としては畜産が有力な選択肢だったのだろう。また概ね温暖な気候が畜産に向いていたというのもある。
宮崎市青島の小景
つまり宮崎の調味料は、肉料理に適したものが多く用いられるというわけだ。例えば高千穂地方などに見られる「鶏の丸焼き」。文字通り、鶏を一羽まるごと焼いて、それを食べる名物料理だ。
肉料理がメインになってくると、いきおい味付けには醤油やみりん、食べる時にはタレなどがマストになってくる。宮崎県の醤油は他県に比べ、甘めのものが多いように思われる。
宮崎には醤油の醸造元が数多くあり、県庁所在地である宮崎市には醤油の醸造元が七件もある。長友味噌醤油醸造元は、宮崎・青島で作られる、宮崎特有の甘めの醤油を提供している。また早川しょうゆみそでは(こちらは宮崎市の会社ではないが)、塩分の少ない健康志向の味噌や生醤油を販売している。
長友味噌醤油醸造元の甘口醤油『甘い醤』
それに比べ、食塩の購入金額は全国的に見ても低い。2014年から2016年における一世帯あたりの食塩の平均購入金額ランキングでは、宮崎市は、全国の都道府県庁所在市および政令指定都市(全部で52ある)中、39位だった。(総務省統計局より)
ちなみに東国原前県知事の登場以前、宮崎牛の知名度が、近江牛などに比べて低かったのは、宮崎を含む九州南部の畜産は、仔牛を育てはするものの、その仔牛を他の地域に卸すのが主なスタイルであることに由来する。松阪牛や近江牛などの一部は、もともとは九州南部から卸された仔牛であり、彼らはそれを自分達のブランド牛として育てて売りさばくのだ。まぁ、アルマーニの時計がシチズン製であるようなものである。