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ヤスダヨーグルト プレーン
及び、日本の近現代の酪農について

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こんにちは。本日のお題は、新潟県の有限会社ヤスダヨーグルトのプレーン・ヨーグルトです。私が暮らす大阪北部では、スーパーの棚に並んでいるのを見かけることがあるのですが、皆さんの町ではどうでしょうか? 全国的なものなんですかね?



ヤスダヨーグルト プレーン


「新潟県ってコメとか刃物とかのイメージがあるけど、ヨーグルト?」と訝る人もいるかも知れません。

当たり前ですが、ヨーグルトを作るには原材料として牛乳が要ります。つまりヨーグルトは酪農という農業の管轄にあたる。ところが現在、日本における就農者(農業に従事する人)の割合は、全人口の1割未満とされています。日本人の多くにとって農業は縁遠い。それ自体は差し当たり仕方ない話かも知れませんが、これでは多くの人は、どういう地域でどういう農業が行なわれているか、なかなかピンとこないはずです。

ですから、ここでは日本の酪農について軽く触れてから、本題のヤスダヨーグルトのプレーン・ヨーグルトに移りたいと思います。



乳牛として名高いホルスタイン種のメスの個体

出典:Cow female black white.jpg
from the Japanese Wikipedia
(アップロード:2018年9月1日)


牛乳を出すのは「乳牛」のメスです。乳牛はおおむね涼しい気候を好みます。だから夏になると多くの乳牛が夏バテに陥り、乳量の供給が全国的に低下することがままあります。これが、暑い夏の最中に(たまに)牛乳やバターが不足する一因です。そういう乳牛の特性を考えれば、日本の中で比較的涼しい北海道、東北、北陸などで酪農が盛んなのは、道理と言えましょう。

日本で農家が酪農を営むようになったのは、実はそんなに昔のことではありません。20世紀序盤、第1次世界大戦の前後のことです。酪農の要である乳牛は1日に100リットルくらい水を飲むと言われています。それだけの量の水を安定供給するとなると、どうしても水道インフラの整備が必要になります。牛なんて川の水を適当に飲ませとけばいいと言われるかも知れませんが、それがなかなか出来ない立地の酪農家だっているでしょう。で、水道の塩素消毒が進んだのが、まさに第1次大戦があった大正時代なのです。

ちなみに、日本人は世界的に見て長寿といわれ、特に日本の女性は長生きするケースが多いと思われがちですが、日本人女性の平均寿命が飛躍的に上がったのも、じつはこの大正期を境にしてのことです。なんのことはない、生活における衛生面が改善されたら、人々の健康が(比較的)安定するようになったということですね。

と、このまま日本の近現代史を丁寧に述べていたら、なかなか本題に戻れなさそうなので、話は一気に戦後の1970年代に飛びます。

それより以前の日本では、勤め人(サラリーマン)というのは少数派で、過半の国民は農家や商家、つまり自営業でした。しかし1970年代になるとそれが逆転して、サラリーマンの割合が増えます。農家は、彼らの「実家」として依然遍在していましたが、この時期には、産業技術の発展により、農業の効率や生産性が上がるという現象も起こります。

そのおかげで、就農する人が減っても、機械の力でカバーできたということはあります。しかし一方では、農産物が供給過剰になり、だぶつきがちになるという事態も起こりました。酪農だって例外ではありません。これ以降、世間で物価が値上がりしても、それに比べて牛乳の価格はなかなか上がらなくなり、当然、採算が取れないということで、酪農家の離農が多発しました。

新潟で酪農家達が「安田牛乳加工処理組合」を結成し、ヤスダヨーグルトを販売するようになったのが1987年の春。日本経済がバブルの門戸に立っていた時期です。当時は、好景気ゆえに牛肉は売れたので、肉牛は高値で売り買いされました。しかし乳牛はそうでもなく、牛乳は価格変動ほぼなしであったと聞きます。バブルの恩恵は、酪農家達には回らなかった。

それゆえ、酪農家の中には「このままじゃジリ貧になるだけだ。牛乳を使った新しい商品を展開して利益を出していこう」と考える向きもあったでしょう。その一環でヤスダヨーグルトは開発されたのかなと推察します。

プレーン・ヨーグルトとは、文字通り、当地の牛乳が一番プレーンな形で加工されたヨーグルトです。ゆえに「ヤスダヨーグルトとはいかなるものか?」を量るのにうってつけではと、個人的には思うのですが。






 

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