2013年、ネット界隈で「財宝」なる会社が話題になった。バレー・ボールの国際大会「ワールド・グランド・チャンピオンズ・カップ」女子大会で、女子選手のユニフォームの中央に堂々と「財宝」と書かれていたり、東京ドームの左中間付近に「財宝」の広告看板が掲げられたりしたので、SNSを通じて話題になったというわけだ。
ここでの「財宝」とは鹿児島に存在する株式会社のことで、そこの看板商品も、これまた「財宝」と名付けられたミネラル・ウォーターなのである。
「財宝」のボトルの中に籠められている水は、桜島から10キロほど南下した垂水市の地下1000メートルから採取するアルカリ温泉水。硬度4という、純度の高い天然の軟水であるが、その成分はご覧の通り、ナトリウムが多分に含まれている。軟水であるため、炊飯や調理にも適していながら、スポーツや入浴のあとの水分補給にも適しているというわけだ。
気になるのは「財宝」という、会社名としても商品名としてもインパクト大のネーミングだが、実際のところ、鹿児島には「南っこ」のような変わった名前の会社が結構存在する。当然、手掛ける事業もそれぞれだが、これはもう鹿児島県民のネーミング・センスがそういうものだというところだろう。
鹿児島と言えば、日本神道の発端とも言える古事記においても重要な地だが、ご多分に漏れず、「財宝」も日本神道の有名所である明治神宮に奉納を毎年繰り返している。「財宝」というネーミングから「なんか宗教クサイな」と思われる方もおられようが、そもそも鹿児島自体、神道が強く根づいているのだから、さもありなん。
天然水というより、「鹿児島の土俗と歴史を知る」という意味で飲まれるべき、鹿児島の天然アルカリ水である。