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『舞妓Haaaan!!!』
京都を舞台にしたエクセッシヴ・コメディ

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こんにちは。本日のお題は、2007年6月に公開され、観客動員数100万人超を記録した東宝映画『舞妓Haaaan!!!』です。どんな映画かを簡単にご説明しますと、阿部サダヲ演じる舞妓マニアの男性サラリーマンが、東京から京都へ転勤(左遷)となり、京都を舞台にやたらのハイテンションですったもんだを繰り広げるというコメディ映画です。監督は水田伸生、脚本は宮藤官九郎が手掛け、興行収入は約20億円を数えました。

さて、本作が製作され、ヒットした2000年代(以下、00年代)とはどういう時代だったでしょうか? いろんな見方があると思いますが。

経済的観点から言えば、その10年間は「不況⇒不況」でした。21世紀初頭の日本では、証券取引所の平均株価が平気で1万円を割り、失業率は5%以上をマークしていましたし、2008年にはリーマンショックがありましたからね。

国内政治を言うなら、政府与党を長らく務めてきた自民党に「まともな人材がいない」がいよいよ明白になった時期です。なんせあの10年間で長期政権を維持できたのは、自身が所属する自民党を「ぶっ壊す」と公言した小泉純一郎だけだったわけですから。そして2009年には、民主党(当時)への政権交代も起こった。フリーター同然だった杉村太蔵が自民党員として議員デビューして、「これでBMWが買える」と笑っていたのもこの00年代でしたから、自民党の人材不足はかなり深刻だったのでしょう。

その頃のテレビや映画はどうだったか? 00年代はクドカンこと宮藤官九郎が脚光を浴びた時代でした。彼は脚本家で、2000年には彼が脚本を書いたドラマ『池袋ウエストゲートパーク』がコアな人気を博し、彼の名は全国区のものになりました。そして00年代には、彼が脚本を書いた『木更津キャッツアイ』や『マンハッタンラブストーリー』などのドラマが、一部の層に人気を博します。好き嫌いは当然あるにせよ、クドカンは00年代の「時代の寵児」だったと言って、言い過ぎではないでしょう。

脚本家のクドカンは時代の波に乗っていた。それはそれとして、じゃあスター脚本家が脚本を書けば良い映画やドラマが出来るのかと言えば、もちろんNOですよね。スタッフを上手く束ねて、現場を十全に指揮し、役者に適切な演出を施す監督や演出家がどうしても必要になる。そこで『池中玄太80キロ』や『恋のバカンス』などのドラマで演出を担当してきた水田伸生が、メガホンを取ったのでした。

クドカン作品は基本的にコメディであり、水田もまた昭和の時代からコメディタッチのドラマを演出してきた人です。その2人が組んだらどうなるか? 笑い+笑いで、映画には笑いがこれでもかと盛り込まれます。それは見方によっては「笑いに関してやや過剰気味になる」で、別の言い方をすれば「悪ノリが過ぎる」です。そうなるのが自然で、この2人が組むということは、そういうことなのです。

で、そういう映画がそれなりにヒットしたということは、こうも言えます。当時の世の中は、「過剰なもの」を求めていたと。

00年代のエンターテインメント業界は、思えば、なにかと過剰気味でした。たとえば「泣ける」というコピーが定着したのもこの時代です。確かに「感動する」も物語の重要な効果ではありましょう。でも、それにしたって、みんなそこまで泣きたいか? そこまで「泣ける」に特化するって、演出過剰じゃないのか? やれ「泣ける本」だ「泣ける映画」といった安っぽい雑なコピーが当時、巷間に普遍していましたが。

それは、もしかしたら「コピーライターが堕落した」かも知れません。しかし民衆にそれを受け入れる余地がなければ、やはりあんなに大量の「泣ける」は広がらないはずです。極端なもの、過剰なもの。そういうものを求める下地が少なくとも民衆の一部にはあったのではないでしょうか。

上述のように、当時の経済は不況がデフォルトです。政治にしても、ある種の自爆テロ的な政権しか支持を集めなかった。とすると、世間にはやけっぱち感がそれなりに濃厚に漂っていたということで、だからこそ本作のように「過剰気味」のコメディがウケた。それは時代の趨勢としては必然だったのかも知れませんが、世相としては末期的とも言えます。劇中、伊東四朗は「京都ももう終わりだな」とつぶやきました。

作品情報

・監督:水田伸生
・脚本:宮藤官九郎
・製作総指揮:奥田誠治
・配給:東宝
・公開:2007年6月16日
・上映時間:120分





 

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