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■ 9月30日から10月30日にかけて、「郷土料理」をフィーチャーします







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ゼリーフライ
埼玉県北部の「おからコロッケ」

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郷土料理、と申しますと、地方地方に伝わるローカルな料理(またはレシピ)ということになります。で、そうなると料理によっては名前が分かりにくいというケースも散見されたりします。地方にはそれぞれ方言や独特な事情などがあったりしますから、時として郷土料理の名前が、一聴して「えっ?」と思うようなものであったりするのです。いや、もちろん「ヨソ者にとっては」ですけれども。

そういった「その名前からはどんな料理か分かりにくい」郷土料理は各地方にいくつかありますが、埼玉県にもありました。今回のお題であるゼリーフライです。埼玉北部に伝わる郷土料理なのですが、現地の方々には失礼ながら、これは「その名前からはどんな料理か分かりにくい」と言って差し支えないのではないでしょうか。

ゼリーフライ。この名称からシンプルに推測すると、なんだかゼリーをフライに揚げたものを思い浮かべる人もいるかも知れません。少なくとも私は、そういうものかなと思いました。が、もちろん違います。今回ゼラチンは全く関係ありません。

フライというくらいですから、揚げ物です。端的に言えば、コロッケなんだけど、挽き肉の代わりにおからを用いる。それがゼリーフライです。はっきりとした由来は分かりませんが、20世紀序盤には、もう一般的な料理としてかの地に根付いていたようです。



ゼリーフライ(埼玉県行田市)
File: Gyoda Zeri Fry.JPG
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2005年10月10日)

おからとは何か? 豆腐を作る際、豆乳を搾りますが、そのときに出る残滓を「おから」と呼びます。この説明だけでは良いイメージを抱きにくいかも知れませんが、栄養は豊富なのです。近年では豆腐ハンバーグのように、カロリーを抑えるために、肉の代わりにおからを使う調理法も珍しくありません(その点で言えば、ゼリーフライは100年くらい時代を先取りしていたのかも知れません)。

おからの「から」は「がら=殻」の意なのですが、どうも「から=空」を連想するということで、場によっては忌み嫌われるようです。だからおからのことを、地方によっては「卯の花」と呼んだりもします。

話をゼリーフライに戻します。その作り方は「挽き肉の代わりにおからを用いる」と上述した通り、畢竟、おからコロッケです。茹でたじゃがいもをグニグニとつぶし、そこにおからや野菜(刻んだニンジンなど)を混ぜ、コロッケの要領で小麦粉、卵にパン粉をまぶして、タネを作る。そのタネを程よい温度に達した油に入れ、素揚げにします。こんがりとキツネ色に揚がったら、油から取り出し、キッチンペーパーなどの上に置いて冷ます。仕上げにとんかつソースを掛けて、いただきます(どんなソースを掛けるかはお好みだそうです)。



ゼリーフライ(埼玉県行田市)
File: Zeri Furai, Gyohda, Saitama, Japan.JPG
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2012年11月4日)

単純な料理に思われるかも知れませんが、おからとじゃがいもの比率や、タネに隠し味的に何を混ぜるかなど、店によって(あるいは料理人によって)さまざまなバリエーションがあります。

「なるほど。でもなんでそれが『ゼリーフライ』なんだ? せいぜい『おからフライ』じゃないか?」と疑問に思う人も多くおられましょう。私だってそう思います。でもこの名前の由来は諸説あって、つまり正確なところは分からないのです。だからまぁ「埼玉北部では『おからコロッケ』を『ゼリーフライ』と呼ぶ」と、ありのままを受容するほかありません。





 

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