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■ 9月30日から10月30日にかけて、「郷土料理」をフィーチャーします







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佐世保バーガー
長崎北部のユル~い(?)ハンバーガー

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佐世保バーガー。九州は長崎県佐世保市の郷土料理(というかご当地グルメというか)であるが、「佐世保バーガーとはいかなるものか」を説明するのは、ある意味では簡単であるし、ある意味では難しい。

というのも、佐世保バーガーの定義は以下の通りだからである。
(1)佐世保市内で手作りされるハンバーガーで、
(2)作り置きはせず、注文を受けてから作る。
(3)出来る限り地元の食材を使う、いわゆる地産地消。

なるほど分かりやすい。この3つの条件を満たせば、そのハンバーガーは自動的に「佐世保バーガー」として成立すると。

で、ということは、どうなるのか?



佐世保バーガー
File: The Sasebo burger made at The Logkit.JPG
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2008年4月5日)

たとえば私とあなたが知り合いで、あなたは佐世保市内のどこかに住んでいると仮定しよう。ある日、私があなたの家を訪れる。私の手にはビニール袋が握りしめられていて、その中にはレタスとレトルトのハンバーグ、それとマダイが入っている。マダイは佐世保で獲れたものを買った(佐世保は、全国有数のマダイの漁獲量を誇る町なのである)。

私は、これらの具材をパンに挟んでハンバーガー形式にしてくれと、あなたに頼み込む。あなたは不承不承、それを引き受けた。あなたはキッチンの片隅にあったバンズを2枚取り出し、その間に水でささっと洗ったレタスと、レンジでチンしたハンバーグと、焼いたマダイの切り身を挟み込む。そして、仕上げに調味料を適当にぱぱっとふりかけた。

これとて「佐世保バーガー」になってしまうのである。

もちろん上記の話は全くの空想である。だいたい他人の家に上がり込んで、持参した食材でハンバーガーを作ってくれと頼み込む手合いなど、そうはいないと思う。マダイとレタスとハンパーグが、ハンバーガーとしてマッチするのかどうかさえ、私には分からない。個人的にはあまり食べたいとは思わない組み合わせであるが。

しかし、この空想話は、上述した佐世保バーガーの定義を3つとも満たしている。それは認めて頂けるだろう。それなら、このマダイバーガー(とでも言うのか)は、紛れもなく「佐世保バーガー」である。だから佐世保バーガーは、ある意味では「説明が難しい」になる。だってそれがハンバーガー形式でさえあれば━━つまりバンズの間にパテを挟んだ形であれば━━、理屈の上では、内容やレシピは何だっていいわけだから。

戦後、日本はGHQの占領下に入った。それに伴い、長崎にも米軍が進駐し、その過程で「アメリカ人の国民食」とも言われたハンバーガーが、佐世保に根付いた。これが佐世保バーガーの発祥であるという。



佐世保バーガー
File: Sasebo burger2.jpg
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2006年7月14日)

ただ、当時生まれていない私は、「そんなのは日本各地であったことじゃないの?」と疑問にも思う。何も長崎だけがアメリカの占領下にあったわけではない。東京だって神奈川だって同じだったはずである。アメリカからやって来たダグラス・マッカーサーの指揮の下、苛烈な赤狩りや、戦犯の公職追放が実施された。それは日本中でそうだったのではないか、と。

私は佐世保バーガーの成り立ちや、そのありようにケチをつけているわけではない。ただ、そのテキトーな感じというか、良くも悪くもユルい感じが、なんとも「日本だよなぁ」という気がするのである。上述の公職追放された戦犯はGHQが日本を引き上げたのち、おめおめと公職に戻って、そのうちの一人、鳩山一郎は自由民主党の初代総裁である。そういう政党が2020年の今でも政権与党なのだから、私は「ユルいにも程があるんじゃないの」と思ったりもするが。





 

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