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スライム
「今という時代には流行りにくいだろうな」

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スライムについて書く。といってもRPGゲーム「ドラゴンクエスト」に出てくるキャラクターではない(あのゲームをプレイしたことはないが、小学生の頃にドラクエの定規を持っていたので、スライムの存在は知っている)。玩具としてのスライムについてである。



スライム像@兵庫県洲本市

出典:Monument of Dragon Quest.jpg
from the Japanese Wikipedia
(撮影:2017年9月15日)


上のように断らなければならないのは、ゲーム・キャラクターの方が広く認知されているからというのではない。玩具の方のスライムが「今という時代には流行りにくいだろうな」と思うからなのだが、そのあたりはおいおい後述するとして、まずは概要である。

一般に言うスライムは、ポリビニル・アルコール(PVA)と、ホウ砂という鉱物を混ぜて出来る、べとべとしたゲル(固体と液体の中間的物質)である。1970年代の半ば、アメリカのマテル社(ハズブロと並んで米国を代表する玩具メーカー)から玩具として日本にもたらされた。

スライムはあっという間に人口に膾炙し、1977年だけで約1千万個が売れたという。とはいえ、材料さえあればスライムは容易に作れる。実際、学校の理科室でスライムを作った学級もあるという。それなら日本国内でも作れなくはない。翌1978年には、当時のツクダオリジナル(現メガハウス社)からスライムが売られるようになった。

スライムにまつわる個人的な話をする。

1990年代前半、私は大阪北部の閑静な住宅街の外れに佇む小学校に通っていた。別に進学校でもない、至ってフツウの学校。ただ、町全体がゆるやかな丘陵にあるものだから、学校の敷地は周りの住宅よりちょっと高台に位置していた。校舎の脇にある狭い庭の塀越しに外を見ると、10メートルほど下に、家屋や道路が見える。そういう立地だった。

こういう学校に通う高所恐怖症と無縁の私は、どういう遊びをするか? スライムをぽいっと下の道路に落としたりする。もちろん、万有引力の法則ゆえにスライムは急降下し、道路に(あるいは道路の側溝に)べちゃっと落ち着く。それだけである。それだけの遊びをしていた。サルだったのかも知れない。ともすればスライムは、子供が「楽しむのに意味や目的などは必要ない」を学ぶ教材だったと見ることもできるかも知れないが。



とはいえ、スライムで遊んでいたのは、おおむね男子だけだったように思う。私にしても、当時は同級生の男子とばかり遊んでいた。クラスには女子だっていたことはいたし、関わりがないわけではなかったのだが、なんというのか、男子と女子では遊ぶ方向性が決定的に違ったのである。

小学校3年か4年の時だったと思う。ある日の放課後、同じクラスのN岸さんとH喜さん(いずれも女子)から声をかけられた。みんながいなくなった暮れなずむ教室で、いっしょに遊ぼうと誘われたのだが、そこで3人で何をしたかというと、「こっくりさん」である。

何を面白いと思うかについては、いくばくか性差があるのではないか。なんとなくそういう気がする。であれば、女子は(というより女は)玩具としてスライムを与えられても、面白くもなんともないのではなかろうか。ヤダ、なにこれ、べたべたして気持ち悪い。大半の女はそう言って、眉をしかめ、スライムをゴミ箱に捨てると思う。つまりスライムは、多くの女にとって生理的嫌悪の対象ではないかと。

昨今は、小学生でも男女いっしょに遊ぶグループが珍しくないと聞く。それをどうこう言うつもりは毛頭ない。ただ、男女がいっしょに遊ぶのがデフォルトとなると、そこで採択されうるのは「男子も女子もイヤとは言わないであろう遊び」になるはずである。となると、スライムで遊ぶなどは先ず論外だろう。だから「今という時代には流行りにくいだろうな」と思うのである。

もう1つ付け加えておく。スライムを作るのには水が大量にいる。スライムがブームになった当時、ツクダオリジナルは(大量に水を使ったために)水道局からクレームを受けたという話もある。私達が暮らす21世紀は、資源の時代といわれ、そこでは生死にかかわる水が何よりも重要とされる。深刻な水不足に苦しむ国や民族も少なくない。であれば、やはりスライムは「今という時代には流行りにくいだろうな」なのである。






 

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