近年、先進諸国でシックハウス症候群の問題が深刻化しています。建材や家具製造の際に使われるホルムアルデヒドなどの有機溶剤が、人体に有害な作用を及ぼすもので、日本では1990年代より対策が検討されていますが、新建材などは使われた事例が数え切れないほどありますし、必ずしも原因が溶剤や防腐剤のみにあるとも言えないため、未だ我々はその脅威に晒され続けています。
とはいえ、考えられる原因は可能な限り取り除かれてしかるべき。という訳で、人体に、つまりは自然に優しい素材を用いた壁紙を使いませんか、と提案する会社があります。香川県の有限会社ハウスシステムは、高知県に伝わる土佐和紙を壁紙として施工しています。
日本に紙が根付いてからというもの、土佐(現在の高知県)は「紙作りの国」として、その第一線をキープしてきました。和紙の原料は主に楮(こうぞ)、三椏(みつまた)、雁皮(がんぴ)という植物ですが、このうち楮と三椏の2つは高知が今も生産量トップだそうです。
身近な例で言うと、皆さん大好き日本の紙幣。あれらは明治時代以降、三椏を用いた和紙が一貫して使われているのです。あるVIPが胸を狙撃された際、一万円札がギッシリ詰まった財布を胸にしまっていたため、死を免れたという例もあるくらいですから、和紙の堅牢ぶりは証明済みと言えましょう。