日本語 | English

■ 11月30日から12月30日にかけて、「2022年のポップス」をフィーチャーいたします。







Atom_feed

■ 初代社長は2008年に亡くなられて、二代目の社長も今年(2016年)亡くなられた、と伺いました。田中さんの師や同志にあたる方が・・・

T: そうですねぇ。私が入社したばかりの頃に二代目と初めて会うたんですけど、その頃は私が20代前半、まだ彼は高校を出たばかりやったと思います。三代目とは歳もだいぶ違いますね。

こないだ三代目の息子さんが、今小学五年生なんですが、ウチの工場に来て、初めて豚まんを作る体験をしたんです。その豚まんをおじいさん(二代目)が食べて、「美味い、上出来や」言うて、お小遣いに一万円渡してはりました(笑)。せやからもうちょっと生きていられたら、四代目の活躍を見れるのになぁ、と思います。



■ 伺いにくいですが、現世に、会社に残された側としての思いなどを聞かせて頂けたら、と思います。

T: 蓬莱が創業以来ずっと守ってきたこと、大切にしてきたことをちゃんと次の世代に伝えるというのが、私らの役目かなと思てます。たとえば、蓬莱は関西圏以外には出店しない。なんでしないかと言いますと、できたての商品をお客さんに届けたいし、そうやないとウチの商品やなくなってしまうんです。せやから工場から150分以上かかる地域には、物流の関係で出せないんです。最も遠い店で、滋賀の草津あたりやったと思います。


■ できたてであることが重要なら、生産拠点を増やせば良いのでは?

T: 実際、そういうお話を頂くことが、ありがたいことにしょっちゅうあります。「埼玉の方に空いている土地があるから、工場を出してみては?」と提案してくれる人もいました。でもそうすると生産管理の目が届かなくなる。自分たちの目や手が届かない場所となると、商品の品質に劣化が起こる。それはウチの商品を求めてくれるお客さんを裏切ることになっちゃうんですよ。

まだ私が若い頃、一度、創業者に怒られたことがありました。その当時は、需要と供給で言うと供給が間に合わない、てんやわんやの状況で、私が「製造に機械を導入しましょう」と当時の社長に進言したんです。機械化すれば効率も上がるし、供給量も増やせますやんか、と。


■ 理にかなっていますね。

T: でも社長は「ウチのは手で作ってるから、この美味しさがある。この味をお客さんは求めてはるんや。機械化して味がちょっとでも変わったら、お客さんを裏切ることになる」言うて猛反対されたんです。



■ 創業者のポリシーからして、そうだったんですね。

T: でもホンマにそう思いますよ。蓬莱は、お客さんに育ててもらったもんなんです。せやから、そうして支持してくれはるお客さんを裏切ったらあかん、と。それは社員一同に徹底したいと思ってますし、実際に徹底されています。その上で、出店できない地方に関しては、百貨店の物産展なんかで、期間限定でお店を出さしてもろてます。


■ たまにあるみたいですね。あれはどういうカラクリなんですか?

T: ミキシングの機械とかを全部その地方に持ってって、言うなればミニ・ファクトリーを、そこにこしらえるんです。だから今はそれ専用のチームが、営業部に2チームあるんですけど、フル稼働状態です。


■ そういう仕組みやったんですね。でも蓬莱の味が変わったら、大阪人は困りますから、確かにそれが良いんやと思います。田中さんは関西という地域に関しては・・・

T: そらもう愛着があります。蓬莱をここまで育ててくれた、関西のソウルフードや言うてくれる土地ですから。せやから私も、何かできることはないかと言って、宣伝させてもろてるんです。ちょっとでも地元の人に愛着を持ってもらえたらええな、と。


■ なるほど。では最後に、蓬莱に関して一言、お願いします。

T: 蓬莱は豚まんだけやのうて、シュウマイも美味いです!



■ めっちゃ宣伝しはりますやん(笑)。いや、本日はありがとうございました。


インタビューと文: 三坂陽平
写真提供: 株式会社蓬莱