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■ 2月29日から3月30日にかけて、文房具をフィーチャーいたします。







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■ では、サイトをスタートした2002年から現在まで、日本のポップスは、こう変わったな、と感じることなどありますか?

M: そうですね、それこそ、ちょうど2000年代半ばからだと思いますけど、「バラードにストリングス」のパターンが増えたな、と感じます。どのアーティストを聴いても、そんなパターンだな、と。もうピークは過ぎたかと思いますが。


■ 亀田誠治さんが、台頭してきた頃ですかね。平井堅の「瞳をとじて」(2004)とか・・・

M: 亀田さんもそうですし、あとは小林武史さんも、そのパターンが急激に増えましたよね。ミスチル(ミスター・チルドレン)にしろ、マイラバ(マイ・リトル・ラヴァー)にしろ。「ストリングスまみれ、ピアノまみれ」と言いますか(笑)。以前はもうちょっと多彩なアレンジをする人だったのに・・・


My Little Lover/「深呼吸の必要」(2004)

■ ミスチルでいうと、前作(2012)なんか、その極みでしたね。

M: そうですね。だから今年出たミスチルの最新作には安心したんですよ。「ちゃんとギターが聴こえる」と(笑)。一時は、耳を凝らさないと聴こえないくらいに、ギターの音が埋もれていましたからね。


■ バンドなのに、と(笑)。


Mr.Children/「常套句」(2012)

M: アレンジャーで言うと、あとは本間昭光さん。2000年前後の広瀬香美とかポルノグラフィティとかを聴く限り、あの人は、打ち込みが得意な人だと思っていたんですけど、最近だと、いきものがかりのバラードを本間さんが担当すると、またストリングスか、と(笑)。もうちょっと他に手法があるだろう、とは思うんですけどね。


■ まあ、確かに、似たようなアレンジメントばかりがね。それはストリングスが悪いわけではなくて、彩りに欠ける、ということですけど。

M: 昔はアレンジよりもメロディを重視して聴いていましたが、歳を重ねるごとに、アレンジに関心が向くようになったんですよね。だからそういうふうに聴こえる、というのはありますが。

M: その他で言いますと、最近になるほど、重量級のベスト・アルバムが増えたな、と(笑)。何枚組みとかのベストが増えたおかげで、ベストを聴くだけでお腹いっぱいになって、オリジナルに手が伸びないんですよ。ベテランならともかく、10年も活動していない歌手やバンドが、ベストにあれもこれもと、何十曲も詰め込むのはどうかと思うんですけどね。


■ 今年で言えば、デビュー5周年の高橋優のベスト(30曲入り)とか。

M: 高橋優はベスト以前から聴いていたので、ベストが初めて、というわけじゃなかったし、あのくらいは名曲があるとも思っていますが、高橋優を初めて聴こうとする人が、いきなり30曲は、きついと思いますよ。元々、一曲に言葉を詰め込むタイプの歌手じゃないですか。だから半分の15曲でも、他の歌手よりヴォリューミーに感じるんじゃないかな、と。


高橋優 BEST 2009-2015『笑う約束』ダイジェスト


■ 音楽配信の普及具合については?

M: CDから配信への過渡期と言われ続けて、もう10年くらいになりますからね、過渡期が(笑)。昔あった「着うたランキング」とかが、もうちょっと広く浸透してれば、また配信も状況は違ったんでしょうけど。だからメディアが、配信シーンでのヒットをもうちょっと、CD同様、ちゃんと伝えていかなきゃいけなかったんですよ。


■ 配信だと、何がどれくらいヒットしているのか、リスナーには分かりにくいですからね。

M: それを考えると、結局、メーカーさんたちはみんな、CDにしたかったんじゃないですか?(笑)