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■ 2月29日から3月30日にかけて、文房具をフィーチャーいたします。







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■ お2人は姉妹で学生の頃から共作されているということですけど、お姉様に対して思われるところなど、ありますか?

M: 基本、姉は我慢してくれている、と思います。2人で相談して全体のプロットを作って、ネーム、いわゆる絵コンテですね、を私が作るんですね。その段階で姉は文句があれば言うんですけど、基本は私がネームを起こして下絵を描きますから、ひょっとしたら不本意な部分があるのかも知れませんけど、ここで描き直しってやってると時間がかかるので、意外と我慢してるんじゃないかと思います。


■ 眞里子先生が下描きをして、眞弓先生がペン入れをされるということですが、その時点で気づかされることなども・・・?

M: 手先とか細かい所のデッサンの狂いを(姉が)直しますけど、もう長いですからね。「あ、ここ直したのね」「当然でしょ」っていう感じです。「あんたがペンを入れるんだから、あんたが直すのは当たり前よ」って(笑)。


■ あうんの呼吸があるわけですね(笑)。

室山眞弓(漫画家)
1976年、「室山まゆみ」としてデビュー。
以降、児童マンガ、少女マンガの世界で、
第一線で活躍中。
ネコ舌なのに、冷たいモノも苦手。
(C)小学館・室山まゆみ
M: 新人の頃はね、バラバラに作ってたんです。このキャラは私が、このキャラは姉が、って。お互いにヘタクソって言い合ってましたけど、そうすると仕事が進まない(笑)。ケンカするとお互い出てっちゃいますもん。部屋からプイッと出て、どっちもその辺の喫茶店で一日中沈没して、〆切来ちゃうという(笑)。だから新人の時は本当に・・・結構困りましたね。


■ 遅々として進まない、という・・・

M: でも〆切が近付くと、お互いに妥協するしかないんで。〆切というのは、若い頃は特に、もう絶対じゃないですか。〆切を守らないと干上がってしまう、新人で〆切を守らないヤツはカスだ、と思ってましたから(笑)。少女雑誌でデビューして、学年雑誌で本当にたくさんお仕事を頂いたので、〆切が重なって、ゆとりがないわけです。そこでケンカしててもしんどいだけだし、そうするとお互い妥協点って見つかってきますよね。


■ これまでお2人のどちらかが、ソロで活動しよう、と考えられたことなどは・・・?

M: 若い時に、全部若い時の話でなんですけど(笑)、もしどっちかが結婚したら1人でやるっきゃないかなぁ、とは言ってましたけどね(現在お2人とも独身)。


■ 個人的に気に入らない、コンビ解消だ、とはならなかったんですね。

M: 本当に描くのが遅くて(笑)。私の場合、非常にペンタッチが汚くて・・・これだけ長い年数やって来て、主線(おもせん)入れたことないんです。


■ 3年程前、眞弓先生が手をケガされて、眞里子先生がペン入れもされたことがあった、とお聞きしましたが。

(C)小学館・室山まゆみ
M: 一本だけです。私は、ペンはガリガリゴリゴリで、遅いし、汚いし・・・嫌いだったんですよね、ペン入れ。背景はまだ良いんです。集中線とか、定規ひくのは良いんですけど、主線は・・・だから、さすがにもうこの歳になって、1人では描かないでしょうねえ。



■ まさに2人で1つという感じですね。『あさりちゃん』だけでも35年以上やられてきたわけですけど、お2人の関係以外で、執筆現場の変化など何かありましたか? 世間では作画のデジタル化などが進みましたが・・・

M: ああ、トーンもインクも使わない、そういう方増えましたねえ。ただ、(私たちは)マジで機械が苦手なんですよ(笑)。パソコンなんか滅多に開かないっていうくらいで。だから、そういう意味でも、もうダメかなと不安になることはありますけどね(笑)。まぁ、みんながみんなデジタル化してるわけではありませんから。


■ スクリーントーンなども、売り場面積が縮小されたりしつつ・・・

(C)小学館・室山まゆみ
M: 実家の熊本に仕事を持って帰って、欲しいトーンがあるからって買いに行ったらトーンが売り場からずいぶん消滅しているとか、地方では感じますけど、東京だとみんな新宿の世界堂とかで買いますから、困らないんじゃないかしら。だから私たちは昔から(執筆現場は)典型的アナログでやっていますね。アシスタントも基本使わない主義ですし。使ったのもごく短い期間でした。


■ アシスタントがいないということは、本当にお2人だけですよね。

M: 2人だけでごそごそごそごそやってます(笑)。自分の原稿の中に他人の線が入るのは、基本的に嫌い。あと、マンガ家って、手伝いの人も一緒にご飯食べるじゃないですか。姉も私も肉類が一切ダメなので、手伝いの人に悪くて。


■ 気の遣い合いになっちゃって・・・

M: そうなんですよ。仮に私たちが1人で描いているとします。そうすると、手伝いの方はどうしても必要と思います。でも私たちの場合は、要するにプロが2人で描いているわけですから、そういう面では他人を使うより遥かに早いと思います。例えば、アシスタントの方に、これとこれやって、と指示しないといけない所も、必要ありませんから。そのビミョーな時間が節約できるというか、効率が良いんですね。