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■ 8月31日から9月29日にかけて、ビールをフィーチャーします







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さて、大七酒造の生もと造りのお酒については前述の通りです。佐藤さんは、その酒蔵で杜氏を務め、お酒造りや品質管理に余念がありません。杜氏とは、お酒造りにおけるジェネラル・マネージャーです。野球で言えば監督にあたるポジション。ここでは、佐藤さんがいかなる人生を歩んで、現在の地位と技能を確立したかを訊いてみましょう。

佐藤「福島ではなく、岩手県の出身なんです。岩手南部では、昔から酒造工を働き口にする人が多く、酒造工に従事したのは自然な流れでした。働きはじめたのが昭和38年(1963年)。大七酒造に入社したのは平成6年(1994年)でした。なぜ大七に来たのかは、ひとことで言えば縁です。その翌年には頭役に昇格して、杜氏に昇格したのは平成9年(1997年)でした」


岩手県といえば南部杜氏(日本最大の杜氏集団)の本拠地であり、もちろん、佐藤さんも南部杜氏のお1人です。ここで一般ピープルとして気になるのは、杜氏の仕事内容です。野球で言えば監督、つまり酒蔵の最高責任者。とはいうものの、今一つピンときません。蔵人(杜氏のもとで酒造りに携わる人々)とどう違うのか。また、会社組織において社長とはどう違うのか。なかなか全体像がつかめそうでつかめないものです。

佐藤「大七の場合で言いますと、醸造部門の責任者として常に現場に立って、他の酒造工たち(蔵人)と寝食を共にしながら、後継者の指導や育成もおこなっています。作業の内訳は、以下の5つがメインになります」

(1)醸造計画
その年度の仕込み予定から、具体的な作業プランを立てます。

(2)日々の醸造管理
仕込み期間中、日々の醸造工程を管理します。

(3)技術の改善・新商品の開発
日々の研究により技術の改善や新商品の開発に寄与します。

(4)人事管理と若手社員の指導育成
醸造部門の人事管理と、若手社員等への教育指導などを行います。

(5) 醸造設備の計画立案とメンテナンス
必要な新規設備の立案や、既存設備のメンテナンスを行います。


こうして聴いてみると、杜氏とは酒造りに関してありとあらゆることに責任を負う重大なポジションだと思い知ります。とりわけ私が掘り下げて訊きたいと思った項目は、4番目の「若手社員の指導育成」です。他のいずれの項目も、もちろん大切なのですが、企業活動では、時間の流れと共に人の移り変わりは避けられません。佐藤さんがどんなに名工であっても、いつかはリタイアする時が来ます。その時、次の世代に名工がいなくては、醸造部門はどうしようもないでしょう。


純米吟醸「螺鈿」

内容量: 500 ml
原材料名: 米、米麹
アルコール度数: 15
価格: 税込2,880円


佐藤「良い職人というのは“きれいな仕事”が出来なくては成りません。それを指導しながら、本人の適性もそれぞれ見ています。素直に吸収して、自然にきれいな仕事が出来るようになったら良いですね」


ここで“きれいな仕事”とは何ぞやと、さらに掘り下げるのは不粋そのものと思います。きっとモノを創る仕事に携わる人なら、それぞれに思い当たるところがあるはずです。「美味」の字の中には「美」がありますから、美しいモノとは、やはり美しく創られて然るべきなのでしょう。


純米大吟醸「妙花闌曲」

内容量: 720 ml
原材料名: 米、米麹
アルコール度数: 16
価格: 税込15,120円


インタビューと文: 三坂陽平
写真協力: 大七酒造株式会社 広報企画室