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日本の地ビール
ベアードブルーイング 代表

ベアードさゆり

< 2013年11月25日 >


日本で地ビールというと、その土地その土地独自の風土に基づく個性を帯びた、ユニークなビールをイメージする人が多いかと思われる。確かにソレも間違いではない。だが一方で、地方の特色のみに甘んじない、大手には作れない個性的で美味しいビールを醸造する会社も存在し、彼らは一様に自分たちのビールを「クラフト・ビール」と称する。つまり、ビール職人によるビール。その呼称からは、自分たちのビールに対する強いプライドと責任感を感じる。今回は、静岡県沼津市という港町で、今や国内外にも好評を博すクラフト・ビールを醸造し続けるベアードブルーイングのベアードさゆりさんにインタビューを行なった。


■ 本日はよろしくお願いいたします。とはいっても貴社の「カントリーガール かぼちゃエール」は別に記事としてアップしているわけなんですけども(笑)、アレって年一回いわゆる季節限定で秋期に出すものですよね。で、かぼちゃって年中手に入れようと思えば手に入れられるのに、あえて季節限定にした理由を、まずはお訊ねしたいな、と。

ベアードさゆり(以下:B): 毎年収穫できるだけのかぼちゃを使用し造っていますので、年に1回しか仕込めません。農作物なので、その年によりかぼちゃの種類や味も若干変わってきます。その違いを毎年感じるのも、クラフト・ビールの楽しみだと思います。


■ 用いる材料から自然や季節を感じ取るのも、クラフト・ビールの精神に則した楽しみ方のひとつである、と?

B: はい。


■ そうすると、次のような疑問点が出て来ます。クラフト・ビールと大手のビールや地ビールの違いとは何か、っていう。いわゆる職人が作るビールとは、言葉にするとどういうものか、と。

B: ビールにストーリーを持たせられるか、というところかな、と思います。


■ ストーリー・・・というと、そのビールを醸造することにドラマがあるのか無いのか、ってことですか?

B: 例えばベアードビールの季節限定には、いろいろなストーリーがあります。古くてもう忘れ去られてしまったビア・スタイルを再現してみたり、旬の果物や農作物を使用して、ビールの多様性と可能性を表現してみたり。また、とてもプライベートに友人や家族をインスピレーションに造られたものなどですね。


■ そういえば、「カントリーガール かぼちゃエール」も、(ベアードビール代表の)ブライアンさんのプライベートな記憶に由来したものですもんね。

B: はい。あれは彼の母であるサリーからインスピレーションを受けて造られたもので、彼女が小さい時に、田舎町のミス・パンプキンに選ばれたというお話からイメージして名付けたものです。


■ パンプキンって、それだけで俗語で「田舎町」という意味がありますけど、やっぱり秋っていう季節にも縁があると?

B: そうですね。秋が彼女の大好きな季節だった、ということや彼女の素朴だけれども洗練された品の良さなど、いろいろなことから影響を受けて、レシピが完成しました。


■ そう考えると、ビールに物語性が確かにありますよね。なぜこのビールを醸造するのか、っていうのに、パーソナルではありながらもしっかりとした裏付けがあるという。

B: もちろん材料にもこだわりはありますよ。ベアードのかぼちゃエールは、かぼちゃそのものの味を最大限に生かすため、スパイス等は使わず、かぼちゃのみを使用していますが、特に今年は、自分たちの畑に種をまいて収穫できた初めてのかぼちゃを使用しています。無農薬栽培なので、収穫後、泥や汚れをきれいに洗って、カットしたり、種をとったり・・・



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