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■ 7月31日から8月30日にかけて、神社をフィーチャーします







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■この10年間、『モキリー』を通じて数多のニット作品を制作・発表してきたトキトモコさん。作品というものは、時間と共にその意味を変えてゆく。作り手は時間軸とは無関係な作品など作れないし、当然だが、過去の作品と現在の作品が同質であることはない。この10年、彼女のニット・アートはいかな変化を経てきたのか。

「昔の作品を見ると、いつも「勢いがあるなぁ」と思います。ものすごく意外な素材の組み合わせなど、躊躇しないで突っ走っている感じがします。デザイン面とかでも、もう2度と同じものはできないだろうというデザインが多いですね。恐らくは服飾やニットの勉強をしてないからこそ出来たものだと思いますが・・・現在でもその「勢い」は忘れないように心掛けてはいるのですが、どうしても熟(こな)れてきたと言うか・・・気づかないうちに丁寧になってきたと思います」


■ビギナー時代の荒削りな良さや無鉄砲さの喪失は、誰もが自身の過去を顧みた時に感じたことがあるだろう。しかし、そういった喪失を客観的に捉え、代わりに何を得たのかを考える・・・その状態から脱皮して初めて、本当の仕事が出来るというもの。

「オーダーも頂くので「もう作り方覚えていません」という作品ばかりではいけませんから(笑)。(以前よりも)考えながら作っている気がします。最初に思い描いたデザインに肉付けしていって、時にはほどいて編み直したりして・・・以前よりも1着1着にドラマがある気がしますね、最近の作品は。自己満足かもしれませんが(笑)」


■これまでにもフランスなど海外でも展示やイベント等、ワールドワイドに活動してきた彼女は、2011年より英国を拠点に活動を繰り広げている。そのことがどう作品作りに影響するものだろうか。

「まだ1年なので、自分自身で変化は分からないのですが、現在住んでいるところが少し都心から離れていて、東京とは全然違う、自然いっぱいの中で生活をしています。子供の頃から植物が好きなので、嬉しい環境ではありますが、『モキリー』作品にある「毒気」のようなものが抜けてきてしまうのでは?と少し心配しています(笑)。でも、このほのぼのとした環境で新たにどんなものが生まれるのか、楽しみでもあります」


■「毒気」・・・人を魅了することが生業のアートやエンターテイメントにおいては重要な要素だ。もっとも毒気ばかりでは毒にしかならないので、それだけではアウトだ。最後に、この10年の間、制作において変わらず大切にしていることを訊いた。

「しっかり作る事です。私の作品は、変な形をしていたり、適当風なデザインが多かったりするのですが・・・やはり着るものですので、壊れやすいものは作りたくないな、と。長く着てもらえたら良いなと思います」

ニット・アーティストのトキトモコさん
モキリー 公式サイト


(インタビューと文:三坂陽平)