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■ この30周年の節目に、『はてもの』とは、つまり何なのか、教えて頂きたいのですが、いかがお考えでしょう?

Y: 『はてもの』は、だから・・・要するに、コレですよ。(インタビューの現場を指して)つまり、雑談なんですよ。


■ インタビューを雑談と云われると、困ってしまいますが(笑)。つまり先程おっしゃられていた会話劇ということですか?

Y: いや、そうじゃなくて、『はてもの』の中で僕が好きなのは、ある人との雑談がキッカケで発展してゆくタイプの話なんです。たとえば1998年3~4月号に掲載された、漫画家が出版社のお偉いさんを接待して、仕事をもらって、挙句には会社を作って、なんて話は好きですね。つまるところ、与太話なんですけど(笑)。


(C)ゆうきまさみ・KADOKAWA
「月刊ニュータイプ」1998年4月号掲載

Y: 三枝さんに(打ち合わせをするように)なってからの最高傑作は、海辺に作家をカンヅメにするコテージがあって、作家が海に入って遊んでいると、監視台から編集担当に、仕事をしろと怒られる、あの話ですね(笑)。(2011年5月号)アレも、もともとは三枝さんの「ウチの会社には、社員食堂がない」という不満から膨らんだ話なんですけど(笑)。


(C)ゆうきまさみ・KADOKAWA
「月刊ニュータイプ」2011年5月号掲載

■ ああ、確かに社員食堂って、異動した元同僚と会えたりして、楽しいですけどね。でも最近の若い人は、スマホばっかイジってるからなぁ。閑話休題、すると、現実の出来事に端を発して、妄想を膨らませて、漫画化するわけですから、フィクションとノンフィクションの混合物でもありますよね?

Y: いや、僕が描いてきたものは、『はてもの』でも『パトレイバー』でも、みんなフィクションですよ。フィクションと思ってもらわないと、困ります。最新の話(2015年12月号)で言えば、ツッコちゃんなんかいませんし、まして彼女が検索なんかしていませんから(笑)。


■ まあ、漫画的表現ですから、フィクションですよね。でも、エッセイと名がつくと、ノンフィクションだと思う人もいそうですが。

Y: う~ん・・・もちろん、日頃、僕が思っていることとかが、ベースにはなっているんですけど、それはどんな物語でもそうですしね。たとえば『じゃじゃ馬(グルーミン★UP!)』なら、この当時は競馬にハマっていたよなぁ、とか分かりますし(笑)。

Y: ただ、これは『はてもの』というか、月刊誌に連載されているコラムとしての利点ですけど、作者が思っていることが、世に出るのが早いんですよ。他の物語だと、物語の展開がありますから、思っていることが反映されるのも難しいし、されるにしても時間が掛かりますからね。



(C)ゆうきまさみ・KADOKAWA

ゆうきまさみ(漫画家)

1957年、北海道札幌市生まれ。
一般の会社に就職後、1980年、漫画家デビュー。
1985年、『ゆうきまさみのはてしない物語』を
「月刊ニュータイプ」に連載開始。
代表作は、『機動警察パトレイバー』、
『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』など。
夏のみならず、秋でもアロハシャツを愛用する。
■ なるほど。しかしそういうところでは、先生は2010年からツイッターをされていますが、そっちに利があるんじゃないですか?

Y: そう、だから結構ツイッターでつぶやいちゃって、これ『はてもの』のネタに出来たのに、つぶやいたから、もう使えなくなったとか、あるんです(笑)。でも一方で、ツイッターにはすごく慎重になっている部分もあります。何かを批評したりすると、ダイレクトに反応をする人が、ツイッターにはいますから。だから、たとえば何かを面白いと言う時も、「僕は」面白いと思う、とつぶやくように気を付けています。


■ ツイッターは思うところをパッと反映してくれるけど、そこに漫画的表現のようなクッションがないですからね。『はてもの』では、政治家に対して物申す回もたびたびありましたが、脅迫状とか届きませんでした?

Y: 全然ないです。連載していても、ネットのない時代は、のれんに腕押し、みたいな(笑)。なので、読者の反応が知れる、その点ではネット文化の恩恵を受けています。


■ すると『はてもの』は、先生が思われていることを、素早く反映できる、雑談的要素を持った漫画ということでしょうか?

Y: う~ん・・・ジャンルとしては、身辺雑記になるんでしょうけど、漫画だし、フィクションだよね、というところではありますね。