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■ 6月30日から7月30日にかけて、紙をフィーチャーします







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編集余談

大阪で行われたG20サミットは、日本政府の無能ぶり、無策ぶりを世界中にさらして幕を閉じた。まぁ大方の予想通りであろう。

私は(ありがたいことに)政府関係者ではないし、大阪府政に直接的に携わる者でもない。だから、当然と言えば当然ながら、今回のサミットを論じるにはテレビや新聞で報じられた内容に徴するほかない。

私がテレビで観た限りで言うと、在阪局は今回のサミットについて「大阪の地元の食をアピールできた」「世界に『OSAKA』を発信し、広めていきたい」と語るケースが多かったと思う。テレビ、そんなに観ないので凄く限定的ではあるんですけど。

一大阪府民としては、恥ずかしくて苦笑いもできなかった。いったい大阪が、G20各国に対して、どういった面でポジティヴィティを保持しているというのか。しかし政府の無能ぶりをごまかすには、ああでも言って取り繕わないとならなかったろう、とは思う。在阪局に(キー局の許可なく)政権批判をするだけの権限もなかろうし。

以下、日本政府の(目立った)無能ぶりについて述べる。

6月30日、つまり、日米首脳会談の2日後、日本政府は韓国への輸出規制を発表した。安倍政権に追従するマス・メディアおよび御用学者は、韓国大統領を「左翼ポピュリスト」と罵倒し、国際政治から韓国が孤立する旨を強調し、その孤立を言祝いだ。ざまぁかんかん、みたいに。

同日午後、米朝首脳会談が行われたことを日本のメディアの多くが速報。その会談には国際政治からの孤立が(日本国内のみで)叫ばれていたはずの韓国大統領、文在寅氏も同席していた。つまり東アジア情勢で孤立していたのは日本だったと、はしなくも露呈したのである。おそらく、今回の米朝会談に向けて韓国政府は周到な根回しをしていたのであろう。その外交手腕に、私は素直に拍手を送る。

この米朝会談は日本側にとってはサプライズだったようで、外務省はNHKの取材に対し、以下のように語った。「事前に連絡は受けていない」「アメリカ大使館や国務省にも問い合わせているが、詳細は不明」。

この「電撃会談」があった日の午前中、日本の河野太郎外相(神奈川県15区代表)はツイッターに以下のような投稿をしていた。それは「タローを探せ」と題されたもので、G20の会議風景の写真の中で私(河野氏)がどこにいるか見つけてみてね、という投稿であった。もちろん見つけても景品は出ない。

まぁ早い話、河野氏は遊んでいたのである。平和ボケの好個の例と言えるかもしれない。彼を外務大臣としてどう思うか。それは有権者が各自判断することである。とりわけ、彼の地元である神奈川15区、つまり茅ヶ崎市や平塚市の有権者の皆さんは、どう思われるのだろうか。

ホワイトハウスとて「こんなアホどもに(米朝会談について)伝えたってムダだよな」と思うだろう。無理もない。ちなみにこの河野外相は執拗に、新しい外相専用機を買ってくれ(もちろん税金で)とねだっている。日本の有権者がそれを許すのかどうか。そこまでは知らない。

日米安全保障の改定にも話は及んだ。アメリカ大統領ドナルド・トランプ氏は「安保改定に、安倍は異議を唱えないはずだ。だって半年間、安倍と日米安保について話してきたんだから」と会見した(6月29日)。日本政府はこの会見内容については否定した。おそらく国民には知られたくなかったのであろう。知られたら安保改定について日本政府にはどういったヴィジョンがあり、どういった策があるのかを会見しなくては恰好がつかない。

けれど日本の閣僚、官僚にとって、安保改定は不測の事態である。彼らは現況がいつまでも続くという信仰の下でしか活動していない。米軍が日本から全面的に撤退する、あるいは沖縄が日本から独立する。そういった「ありえることなんだけど取り敢えず今までには起きていないこと」は、彼らの想定の範疇にない。よってヴィジョンも策も(当然)ない。

つまり、そんな(前例のない)会見のための原稿を起草できる人間は、日本の閣僚、官僚には1人もいないのである。ただの1人もいない。なればこそ今まで隠しておかなくてはならなかったわけで、主な閣僚、官僚の間では箝口令が敷かれていたのかもしれない。

なるほど、数年前、自民党が強行的に採決した特定秘密保護法はこういうときのためのものだったのか、と思った。あれの言う「秘密」とは「外交、防衛」に関連すると政府が指定する情報、だった。特定秘密保護法とは、自分たちの無能、無策を(国内向けに)糊塗するための装置だったのか、と。でもそれを宗主国であるアメリカのトップにばらされるというのは、まるでコントみたいですね。


(三坂陽平)