『幸福の黄色いハンカチ』
山田洋次監督の映画史に残る人間ドラマ
「幸福の黄色いハンカチ」、このタイトル自体は日本では老若男女の知るところとなっている。しかし、どんな話であるのかとか、北海道が舞台になっているとかは意外と若年層には知られていないようだ。
山田洋次監督の1977年10月に封切りとなった映画作品であり、メイン・キャストは高倉健・武田鉄矢・桃井かおり。この布陣が劇中では3人旅をしている時点で、類稀なる価値を持つ映画となっている。
1977年当時、高倉健は以前からの「仁侠映画の人」というイメージからの脱却を図っていたり、武田鉄矢は今作を機に俳優業をこなすようになったりと、それぞれのキャリアの転換期に合致する作品でもあり、映画史における重要さは計り知れないものがある。
内容は、傷心旅行で北海道を訪れた武田が道中で桃井を口説き落とし、その過程で高倉とも知り合っていくという、奇妙な縁により始まった3人旅の一部始終である。タイトルにもある黄色いハンカチは高倉の事情に関するもので、桃井・武田両名に直接関係はないが、物語のキーとなっており、家族愛・男女愛の象徴として存在する。
この傑作の人気は国内に留まらず、タイ・アメリカや中国など諸外国でも絶大な人気ぶりである。余談ではあるが、アメリカで当作品のリメイク版として公開された「イエロー・ハンカチーフ」には、桃井が特別出演したりしている。
日本でも当作品の影響は今も色濃く、毎年夏に日本テレビが放送する24時間テレビの象徴でもある黄色いTシャツは、今作からインスパイアされたものであるとか。
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