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『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』
ピカチュウの可愛さだけじゃないんです!

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ポケットモンスター、略して「ポケモン」。言わずと知れた、任天堂のビデオゲームの稼ぎ頭です。ゲームとはいうものの、1990年代半ばより、当たり前のようにマンガやアニメなどでメディアミックスして展開されてきました。そのポケモンの初の劇場版であり今もファンの支持が厚い映画作品といえば、そう、『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』(1998)です。


まず特筆されるべきは、子供向けアニメといって侮れないほどテーマが深刻であるということです。ミュウツーは、「ミュウ」というモンスターを加工して作られた人造モンスターです。ゆえに、自分がコピーであるということに疑問や劣等感を持ち、天然のモンスターたちを敵視します。やがて主人公であるサトシと彼が率いる可愛さ振りまきまくりモンスター・ピカチュウは、ミュウツーと激突することになりますが、そのバトルの最中に何も知らない「ミュウ」が現れて・・・というお話。

公開されるやいなや、国内興行収入は72億円を、観客動員数は600万人を突破。その人気は日本国内にとどまらずに海外にも飛び火しました。アメリカでも興行収入は8000万ドルに及び、アメリカにおける日本映画の興行収入記録を大幅に更新しました。(それまで記録を保持していたのは『Shall we ダンス?』で、その興行収入は950万ドルでした)

ミュウツーの逆襲。それが意味するところは、つまりは人工物による天然モノへのストライク・バックでありましょう。時はおりしもインターネットの普及により、コンピュータが「一家に一台」の代物になってきた時代。パソコン教室やパソコン・テキストが巷を席巻、我々が「我々の作ったモノ」を持て余すようになりはじめた頃です。

また、科学の発達により、哺乳類固体のクローン作成が成功したのもこの頃です(ヒツジが1996年、ウシが1998年)。当然のごとく、倫理上の物議をたいそう醸したものですが、このアニメ映画もその流れとは決して無関係ではないでしょう。子供向けアニメの体裁をとりながらもその根底にシャータイル(皮肉)の文体を宿し、かつ大衆娯楽としての要素も盛り込んだこの作品。先述の成果は、決してブームによる一過性の過剰な結果などではなかったと断言できます。




(C)Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku (C)Pokemon (C)1998 ピカチュウプロジェクト



作品情報

・監督: 湯山邦彦
・脚本: 首藤剛志
・音楽: 宮崎慎二
・製作総指揮: 久保雅一、川口孝司
・配給: 東宝
・公開: 1998年7月18日
・上映時間: 75分







 

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