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■ 10月31日から11月29日にかけて、「〇〇年代のアニメ映画」をフィーチャーします。







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『ゴルゴ13』
故・出崎統監督による、新しく色褪せない名作

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昨今ではCG技術の発達により、アニメと実写のボーダーラインは極めて曖昧になりました。アニメにおいても、それは世界的にですが、CGを用いるのはもはや当たり前、むしろコンピュータを使用しない、手描きの絵だけのアニメの方が今は珍しいのです。漫画やイラストの世界でもそれはあてはまりますが。


日本でCG(3DCG)を初めて用いたアニメはというと、1983年にまで遡ります。寡黙な一流のスナイパー・デューク東郷の活躍を描いた、皆さんご存知、日本のハードボイルド代表取締役・『ゴルゴ13』が、それなのです。

2014年の現在から見れば、そのCGは稚拙で、昔の出来の悪いゲーム画面みたいに見えます。恐らく、現在なら個人レベルでも余裕でこのCGは超えられるはずです。

しかし、この作品の眼目はそんな話題性にあるのではありません。鬼才・出崎統が監督したその内容が、当然ながら、面白いわけです。

デューク東郷といえば、誰もがイメージするのは「沈着冷静・豪胆無比を地で行く、百発百中の殺人スナイパー」でしょう。人間の急所はもちろん、女のGスポットも狙いははずさない、最強の男。そこにはヒューマニズムや泥臭さは無縁。彼のイメージ・カラーに暖色系はまず思いつきません。

そんな主人公に「感情移入が出来ない」という理由で、出崎監督はこの作品で「人間・デューク東郷」を描出することにしました。人間らしい、マシーンらしくない彼がここにはいます。結果として『ゴルゴ13』世界の「お約束」を果たしていないものの、さいとう・たかを(原作者)も気に入ったと公言するというほどのクオリティを実現。見事に、<新しい『ゴルゴ13』>を創出したのです。

原作のディープなファンはきっと物言いたくなることもあるかと思います。しかし、別の角度から描いた「ハードボイルド」は、2014年の現在からしても名作たり得ます。きっとそれだけはCG技術の出来のように色褪せることはないでしょう。




(C)さいとう・プロダクション/ TMS・フィルムリンク



作品情報

・監督: 出崎統
・脚本: 長坂秀佳
・原作: さいとう・たかを
・CG監督: 御厨さと美
・配給: 東宝東和
・公開: 1983年5月28日
・上映時間: 94分







 

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