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『キューティーハニー』
サトエリが織り成す、ピュアとエッチの融合

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特撮なんて子供だまし、もっと大人の男女が観て楽しめる要素、そうだ、エロが欲しい。そんな御仁の要望に応えつつも、意外に女性や子供にも適している、『新世紀エヴァンゲリオン』で知られる庵野秀明が監督した特撮映画と言えば、そう、『キューティーハニー』である。

日頃は派遣社員として働くOL、如月ハニー。だがしかし、その正体は如月博士に作られたアンドロイド「キューティーハニー」だった。彼女は自己の体内にある「アイ・システム」を巡り、女刑事や私立探偵と共に、恐るべきテロ集団「パンサー・クロー」との戦いに臨む。

何が素晴らしいといって、キャスティング、即ち、ハニーを演じる佐藤江梨子の好演だ。あられもしない姿で開脚するなど、男性へのサービス精神で満ちているのだが、彼女のプロポーションとルックスゆえに、いやらしさはそんなに立ち込めない。スポンサーにテレビ局がついた時点で、放送コードなどの制約が生じたと言うが、その制約にも軽やかに応じている。

あらかじめ作画されたカットに基づき、1コマずつ役者に実際にポーズをとらせ、コマ取りしたフィルムを編集するという、「ハニメーション」が大きな特徴ではある。いわば実写スチール写真のアニメーション化だが、『キューティーハニー』においては、日本のアニメ界のそうそうたる顔触れがそろっているだけあって、そのクオリティはさすがの一言。佐藤江梨子の柔軟性も、申し分ない。

しかしこの映画の眼目はどうもそれではなく、テーマにあるのではないか、と思う。庵野監督いわく「男をリードする(ハニーのような)女性には今も憧れがある」とのことだが、その監督のピュアな部分が、そのまま「ちょっとエッチ」程度に表現をとどめたのかもしれない。無修正のエロスなど、ネットにいくらでも溢れかえっている現代、刺激など追い求めても仕方がない。何ごともほどほどが良いのである。

強いてこの映画の難点を挙げれば、映画後半において、庵野監督の作品独特の、何となく説教くさい空気が漂う、というところか。





作品情報

・監督: 庵野秀明
・脚本: 庵野秀明、高橋留美
・原作: 永井豪
・特撮監督: 神谷誠
・配給: ワーナー・ブラザース映画
・公開: 2004年5月29日
・上映時間: 93分







 

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