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『仮面ライダーZO』
仮面ライダーの究極であり、原点

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仮面ライダーシリーズの20周年を記念して、22周年の年に公開された、仮面ライダーシリーズの中でも、現在(平成)と過去(昭和)の間隙に存在するような重要な映画といえば・・・『仮面ライダーZO』だ。ちなみにタイトルのZOは20を表していると云われるが、原作者の石ノ森章太郎曰く「Zは究極、Oは原点を意味している」のだとか。


科学者・望月博士が作り上げた完全生物であるネオ生命体・ドラスは、望月博士が感情に左右されない究極の生命体を目指して作り出したものだったが、それゆえにその感情(愛情)に飢える形で、望月博士やその家族を攻撃してゆく。その被害を食い止めるため、望月博士の助手であり、彼に勝手に改造された悲劇の人でもある麻生は、仮面ライダーZOとしてドラスに立ち向かう。言ってしまえば、マッド・サイエンティストがバカをやって家族に迷惑を掛けてしまうが、それに巻き込まれた形の部外者・仮面ライダーZOがその問題を暴力で解決する・・・というストーリー。

先述の通り、「仮面ライダー」のリスタートでもあり、アルティメットでもある位置づけだが、成る程、1号ライダーの時点(1971年)では時代的・技術的に出来なかったことが今作において実現されている。

何といっても、敵である怪人がリアルなのだ。ネオ生命体・ドラスは外見にはコワモテだが、声が幼くて可愛いというギャップ萌えの要素がまだある。それに対してクモ女は、良い意味で救いようのないヴィジュアル。撮影技法でいうと、ストップ・モーションと操演のみで描写されているわけで、昭和40年代には、このクオリティの実現は不可能だった。つまり今作では、これこそ「怪人」というのが、確実に表現されているのだ。

本作のハイ・クオリティは、おそらくはスタッフの覇気と能力によるところが大きい。監督を務めた雨宮(あの珍作『鳥人戦隊ジェットマン』の監督だ)などは、リアルタイムで仮面ライダーを観て大好きだったという。その内的動機は相当なものだったと鑑賞の際に痛感できる。

なお、ZOが操るバイク「Zブリンガー」のベースは、スズキのGSX-Rシリーズの1993年版であるGSX-R400R。1999年に同シリーズは生産を終了しているため、その勇姿がおがめる作品という意味でも、貴重ではなかろうか。





※参考文献:
石ノ森章太郎『石ノ森章太郎のマンガ家入門』秋田書店・1998年



作品情報

・監督: 雨宮慶太
・脚本: 杉村升
・原作: 石ノ森章太郎
・撮影: 松村文雄
・配給: 東映
・公開: 1993年4月17日
・上映時間: 48分







 

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