先日、ツタヤで『スマホを落としただけなのに』がレンタル開始になったので(4月17日レンタル開始)、最寄りのお店で早速借りた。北川景子が主演を務めた、サスペンス映画である。
昨今の日本映画は(良くも悪くも)原作ありきのものが多いが、今作もご多分に漏れず、原作がある。志駕晃が2017年に上梓した、同名の小説がそれにあたる。
「志駕晃」というのはペンネームで、本名は
勅使川原昭というらしい。漢字だけだったら絶対読めない。とまれ、彼が何者かというと、ニッポン放送で何十年と働いてきたサラリーマンである。営業に始まり、制作、企画といろいろこなしてきた彼は、48歳の時に子供を授かり、それを機に小説の執筆を思い立ったのだそう。
そんな彼の小説が2018年に映画化された。言うまでもなく、それが『スマホを落としただけなのに』である。いわゆる「メディアミックス」か。監督には、あの『リング』(1998)や『クロユリ団地』(2013)の監督として有名な中田秀夫が起用された。
本作の主人公は稲葉麻美(北川景子)という、アラサーの女性である。ある日彼女が交際相手である富田(田中圭)に電話をかけると、聞き覚えのない男の声が聞こえてきた。男は、落ちていたスマホをたまたま拾ったという。程なくしてこのスマホは無事に戻ってくるのだが、この一件を境に、ネット上には稲葉の個人情報が次々と漏洩していく。怯える稲葉。彼女は取り急ぎ、ネットセキュリティ会社に勤める知り合い、浦野(成田凌)に、スマホのセキュリティ対策を依頼した。
もちろんここで終わりではない。続きがある。稲葉の事件と時を同じくして、連続殺人事件が発覚する。人里離れた山中で女性の遺体が
累々と見つかったのである。警察は被害者の女性たちにはある共通点があったと推理する。スマホを拾った「男」は何者なのか。そして稲葉が体験した恐怖と連続殺人事件は、どうリンクするのか━━?
先述のように、監督は中田秀夫である。彼の監督作品でいえば、『リング』と相似性がなくもない。どちらもその時代においてドミナントな小道具を「物語の鍵」にしている。今作ではスマホが、『リング』ではVHSテープが用いられた。とあるVHSテープに呪いが吹き込まれ、それを見た人間は7日後に死ぬ。あれは(公開された)1998年の時点では説得力があったが、今ではたぶん、そんなにないと思う。VHSを再生すること自体、もはや容易ではないからして。
中田監督によると、今作は観客から「
怖面白い」と評されることが多かったのだそう。なるほど。それは取りも直さず、スマホがそれだけ普及している、ということなのであろう。その普及が背景にあるからこそ、今作は観客の心に、リアルに、切実なものとして迫ってくるのではないかと思う。私みたいにスマホどころか携帯電話も持っていない人間は、今の日本では圧倒的に少数派だろうし。
今作は興行収入19億円以上をマークし、2020年に続編が公開予定であるという。主演を務めた北川は今作について公式サイトで以下のようにコメントしている。「一度何も知らずにご覧いただき、秘密を知った上で二度目をご覧いただくと、さらに楽しめると思います」。