個人的なシュミには合わないのだけれど、やっぱりこういう歌モノバンドって大事だよなぁと、以前back numberを見た時に思っていた。何それ、という方のために説明しておくと、彼らは2011年にメジャー進出を果たした、群馬県出身の若手バンドである。いわゆる3ピース・バンドであり、音楽の方向性は、
レミオロメンや
秦基博あたりと思ってもらえばいい。
そんな彼らが師走に出したニュー・アルバム『シャンデリア』が、オリコン・ウィークリー・チャートでトップに輝き、初週17.3万枚を売り上げた。去年の春に出たアルバムの売り上げは10万枚に届かなかったし、初週の売り上げは、4万枚以下だったから、今回も正直、そんなに初週では伸びないだろうな、と思っていたが、それはどうにも見当違いだったらしい。
じゃあアルバムの内容が前回と比べて格段にクオリティ・アップしているのか、と言えば、そんなこともない。極めてオーソドックスな「渇き」を唄った楽曲が多いし、骨太なバンド・サウンドも適度に活かされている。前作の延長線上にしっかりとある感じだ。
彼らのヒット要因は、恐らくだが、その「オーソドックス」で「適度」な風味を「しっかり」キープしていることにあると思う。
マンウィズみたいに個性的なルックスで訴求するでもなく、
セカオワや
ゲス極みたいにアクの強い名前でアピールに出るでもない。ちゃんとしたクオリティの歌モノを堅実に提供する、その姿勢が支持されているのだろうし、大事なことだと思う。
彼らの支持層は、まぎれもなく10代、20代の、CDを買わないだなんだと揶揄されてきた若者たちだ。だが、彼らはちゃんと盤を買う姿勢を持っていることが、今作のヒットによって証明された。『
私のドリカム』の記事にも書いたことだが、ちゃんと聴衆を魅了する音楽がそこに収録されてさえいれば、まだ盤は、ポップスは求められるのである。
今年も暮れだが、ポップスの未来を期待させるアルバムに、乾杯。