日本語 | English

■ 2月29日から3月30日にかけて、文房具をフィーチャーいたします。







Atom_feed
『シャンデリア』
back numberの堅実性の結晶

LINEで送る


シャンデリア
2015年12月9日発売

ユニバーサル ミュージック

01. SISTER
02. サイレン
03. ヒロイン
04. 僕は君の事が好きだけど君は僕を別に好きじゃないみたい
05. 泡と羊
06. ミラーボールとシンデレラ
07. クリスマスソング
08. 助演女優症2
09. 東京の夕焼け
10. Liar
11. アップルパイ
12. 手紙

青い下線は執筆者推薦曲を表しています。

全作詞・作曲: 清水依与吏

個人的なシュミには合わないのだけれど、やっぱりこういう歌モノバンドって大事だよなぁと、以前back numberを見た時に思っていた。何それ、という方のために説明しておくと、彼らは2011年にメジャー進出を果たした、群馬県出身の若手バンドである。いわゆる3ピース・バンドであり、音楽の方向性は、レミオロメン秦基博あたりと思ってもらえばいい。

そんな彼らが師走に出したニュー・アルバム『シャンデリア』が、オリコン・ウィークリー・チャートでトップに輝き、初週17.3万枚を売り上げた。去年の春に出たアルバムの売り上げは10万枚に届かなかったし、初週の売り上げは、4万枚以下だったから、今回も正直、そんなに初週では伸びないだろうな、と思っていたが、それはどうにも見当違いだったらしい。

じゃあアルバムの内容が前回と比べて格段にクオリティ・アップしているのか、と言えば、そんなこともない。極めてオーソドックスな「渇き」を唄った楽曲が多いし、骨太なバンド・サウンドも適度に活かされている。前作の延長線上にしっかりとある感じだ。

彼らのヒット要因は、恐らくだが、その「オーソドックス」で「適度」な風味を「しっかり」キープしていることにあると思う。マンウィズみたいに個性的なルックスで訴求するでもなく、セカオワゲス極みたいにアクの強い名前でアピールに出るでもない。ちゃんとしたクオリティの歌モノを堅実に提供する、その姿勢が支持されているのだろうし、大事なことだと思う。

彼らの支持層は、まぎれもなく10代、20代の、CDを買わないだなんだと揶揄されてきた若者たちだ。だが、彼らはちゃんと盤を買う姿勢を持っていることが、今作のヒットによって証明された。『私のドリカム』の記事にも書いたことだが、ちゃんと聴衆を魅了する音楽がそこに収録されてさえいれば、まだ盤は、ポップスは求められるのである。

今年も暮れだが、ポップスの未来を期待させるアルバムに、乾杯。



back number (バックナンバー) official web site






 

『re:evergreen』
My Little Loverの、音楽人としての誠意

『妖怪ウォッチ ミュージックベスト -ファーストシーズン- 』
潮時のベスト・アルバム