MUSIC/ギルガメッシュ
ギルガメッシュは、ちゃらいのが似合う?
「貴女は、ちゃらい男と硬派な男、どちらが好きですか?」という問いに、おそらくほとんどの女性は、「硬派な男」と答えるだろう。最近では、「マッチョがきらい」などというような、男らしさを誇示する男を嫌がる女性も多いし、実際には、ちゃらい男もそれなりにはニーズがあるようだが、とりあえず、ちゃらい男は、一般にはきらわれるようだ。
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MUSIC
2008年11月5日発売
girugämesh
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01. -INTRO-
02. Break Down
03. ULTIMATE 4
04. FREAKS
05. アングリージュース
06. evolution
07. -INST.-
08. puzzle
09. Asking why
10. DEAD WORLD
11. イシュタイル
12. 縁 enishi
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ちゃらくなったものである。そう、日本のヴィジュアル系バンド、ギルガメッシュのサード・アルバム『ミュージック』を聴いて、思ってしまう。2作めからしても、ずいぶん硬派な風味は減り、軟派な要素が増えたように聴こえる。
では、それが悪いのか、といえば、いやいや、むしろ好ましい変化に思える。
実質的にはオープニング・チューンたる「ブレイク・ダウン」を聴いて、おわかりいただけるだろう。歌詞の面では、赤面したくなるほど、脳天気というか、ミドル・ティーンな感性がそのまんま息づいており、加えて、それにふさわしいキャッチーなメロディをサビに持ってくる。もう、この曲、何処かの男性アイドルに提供しちゃえばいいのに、といいたくなる風合いだ。
が、楽曲そのものはどうだろう。ヴィジュアル系の特色である、ダークさやある種の様式美を、いったんは薄め、当時の流行であるブレイク・ビーツやデジタル・ポップを、大胆に導入したという点で、ちゃらくなったと評したわけだが、このバンドのカラーを考えると、それがバランス的につりあっているから、『ミュージック』は好ましい。
特徴のあるだみ声というか、デス・ヴォイス。それに、重低音が効いていながらも、ミクスチャーなアレンジのおかげで、ダンス・ナンバーっぽく聴けるバンドのグルーヴ。ギルガメッシュのカラーと魅力を、最大限に引き出し伝えるアレンジとバランスであろう。
『ミュージック』というタイトルは、そのまま音楽を意味する。それは、自分たちらしさを限定せずに、いろいろな音楽の様式を取り入れようとした、このアルバムを象徴するとして、適当だったのではないか。ちゃらいのはきらわれるかもしれないが、ちゃらくなってみて初めてわかる自分の持ち味というのも、あるのではないか、というお話。
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