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『デリシャス2』
JUJUのジャズに伏流する、松尾潔の瞞着?

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DELICIOUS
~JUJU's JAZZ 2nd Dish~

2013年6月26日発売

Sony Music Associated Records


01. It's a JAZZ Thing!!
02. It Don't Mean A Thing
03. Take Five
04. Give Him The Ooh-la-la
05. In A Sentimental Mood
06. We Are In Love
07. When You Wish Upon A Star
08. Summertime
09. Sway (Quien Sera)
10. Misty
11. My Foolish Heart
12. More Than You Know
13. You & Me

Produced by Matsuo Kiyoshi




前回、ポップ・シンガー、JUJUが2011年に発表した『デリシャス』についてああだこうだと申しました。さて、実はかの『デリシャス』には、続編となる盤があったのです。すいません、そんなものがあったことは初めて知りました。って、別に謝る筋合いのものでもないんですけど、まぁとりあえず。2013年に出された『デリシャス ~JUJU's JAZZ 2nd Dish~』がそれですが、タイトル長すぎやしませんか、ちょっと。というワケで、ここでは『デリシャス2』と称することにします。ご了承下さい。

前回においては、JUJUさんのヴォーカルについて叙述しましたが、まぁ歌声なんて(というか音楽なんて)どうしたって好き嫌いが出るものです。なので今回のメイン・ターゲットは、彼女のヴォーカルではなく、前作と今作双方のプロデュースを手掛けた松尾潔とします。彼は黒人音楽マニアで、JUJUはもちろん宇多田ヒカルやCHEMISTRYの頼れるブレーンとして活躍してきた名代(なだい)のプロデューサーです。

そんな一流の御仁ですから、松尾さんを批評しようというのは無理があります。ただ『デリシャス』シリーズには、プロデューサーである彼の書き下ろし解説が付いているのです。それを紐解き、裏を読む形でなら、限定的にではありますが、彼に物申せるのではないかと愚考する次第です。

彼の解説によると、『デリシャス2』においては、スウィング・ジャズの強調がひとつのテーマであったとされています。成る程、ビッグ・バンド編成(簡単に言うと、プレイヤーの人数が多いってことです)の曲が前回より多くなっています。これらの曲を聴き、私は思わず「この手できたか!」と膝を打ってしまいました。さすが松尾さんです。

何がって? JUJUさんのヴォーカルはジャズには物足りない、とは私の前言ですが、それはおそらく松尾さんにも織り込み済みだったのです。であるならば、そこをどうカヴァーするかが『デリシャス2』の命題になったはずです。松尾さんの選択した手法とは、バックのオケを(人数を増やす形で)厚くし、ヴォーカルの弱さを瞞着するというのだったのでは、と思います。でなければそもそもスウィング・ジャズを強調する理由がありません。村上春樹が自著に冠したように、それを松尾さんが解説の中で引用したように、「意味がなければスイングはない」のです。

たとえるなら、演技力に難があるアイドルを主演に映画を撮らなきゃいけない場合の、脇役を名優で固めて、演出にも力を注ぎ、観客にトータルでの心象として「思ったより悪くはなかった」と思わせる手法でしょうか。そういうのも映画のひとつの作り方ではありますよね。進んで観たいとは思いませんけど。

だから正直、印象としては前回の二番煎じ以上のものはありません。名盤だとは思わない。実際、今作はオリコン初登場11位と、前作(5位)に比べて大幅にチャートではダウンしました。売上とクオリティは必ずしも比例はしませんが、やっぱり当時のJUJUさんにはジャズは早すぎたんじゃないでしょうか。申し訳ないですけど。

明けて2014年、松尾さんはJUJUさんと、ポップスの楽曲『ラストシーン』で再度タッグを組みました。この楽曲は好きなんですよ。ジュリーの「勝手にしやがれ」の女版みたいな感じで。そう言ってみたところで何のフォローにもなってないかもしれませんが。



JUJU 公式サイト






 

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