『COSMIC EXPLORER』 Perfumeの次なるステージ=宇宙?
『COSMIC EXPLORER』は、Perfumeの6枚目のオリジナル・アルバム。前作からはじつに2年半ぶりということもあり、その間にリリースされたシングルA面は5曲すべて、B面からは2曲が収録された、フル・ヴォリュームなアルバムとなっている。初回盤には「FLASH」のオリジナル・ヴァージョン、カラオケ・ヴァージョンとラジオを収録した特典CD、そしてライブ映像やメイキングを収録したブルーレイ(初回盤A)もしくはDVD(初回盤B)が付いている。なお2016年8月には今作のアナログ盤も発売された。
『COSMIC EXPLORER』
2016年4月6日発売
Universal J
01. Navigate
02. Cosmic Explorer
03. Miracle Worker
04. Next Stage with YOU
05. STORY
06. FLASH (Album-mix)
07. Sweet Refrain (Album-mix)
08. Baby Face
09. TOKIMEKI LIGHTS (Album-mix)
10. STAR TRAIN (Album-mix)
11. Relax In The City
12. Pick Me Up
13. Cling Cling (Album-mix)
14. Hold Your Hand
<初回限定盤特典 CD>
01. FLASH
02. FLASH -Original Instrumental-
03. Perfumeのただただラジオが
好きだからレイディオ! 2
※青い下線 は執筆者推薦曲を表しています。
Written & Produced by
中田ヤスタカ(CAPSULE)
前作発表から2年半の間。彼女たちはiPhoneやメルセデス・ベンツのコマーシャルに出たり、彼女たちのライヴが総務大臣賞グランプリを受賞したりするなど、Perfumeという枠組み、プロジェクトは、とどまることを知らぬ勢いで肥大化していったと思う。それはブラック・ホールの底無し感にも似ていたはずで、おそらく当の3人も事態を腑に落とす間もないまま流されていたのではないか。もちろん、その場その場でプロフェッショナルに仕事をこなしていながらも、ではあるが。
しかしプロデューサーの中田ヤスタカはそこに流されなかった。それはPerfumeと彼とは一定の距離を保っていたからというのもあるが━━なにしろ彼自身、Appleの発表会にPerfumeが出てきて驚いたと言っていたくらいだ━━、彼の中に、Perfumeの次のステージに関して確たるヴィジョンが、世間や経済の流れとは全くかけ離れた形で、あったからではないか。
実際、今作の制作にあたって、彼はアミューズ(Perfumeの所属事務所)に顔を見せて打ち合わせしたものの、予定の確認程度の内容だったのだろう、すぐに帰ったと聞く。そこに確たるヴィジョンがなければ、打ち合わせや会議というのは無限とも思えるくらいにだらだらと続くものなのだ。ならばその逆は、と考えれば、私見もあながち間違いではないだろう。
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『COSMIC EXPLORER』は統一感に満ちている。たとえば「Cling Cling」や「FLASH」など、オリジナルとは全く違う曲になっている。それはつまりアルバムのムードに合わせているわけで、中田が今作に関して「確たるヴィジョン」を持っていた証左でもあるのだ。とはいえ、わかりにくいというのではなく、トータルで1時間もないために聴きやすくもある。
聴き終わったあとには(もしもあなたが彼女たちの過去の作品をつぶさに聴いてきたとしたら)、なるほど、Perfumeは確かに次のステージに上がったのだな、と思えるはずである。
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