しかし天下の金剛石、ダイアモンドと言っても、研磨、加工していなければ、ただの石ころに過ぎません。ジャンケンを思い出してください。石(グー)は紙(パー)に包み込まれて負けるわけです。無理矢理な言い分かもしれませんが、つまりはダイアより紙の方が上位なのです。ならばこういう言い回しがあったっていいと思いませんか? 「ペーパー・カット・ペーパー」と。え? 紙で紙が切れるわけねーだろ、ですって? いや、出来るんですよね、それが。お待たせしました、ようやく眼目の登場です。紙で紙を切る、『ペーパーメイド・ペーパーナイフ』です。
「Paper Made Paper Knife」
サイズ: 179 mm × 35 mm × 厚み4 mm
重量: 約25 g
価格: 税抜3,800円
う~ん、デザインというか形状だけ見てもほれぼれしちゃうような、「軽さ」と「しなやかさ」を感じます。さすが2005年、ドイツのデザイン・プラス賞を受賞しただけのことはあります。パッと見ただけだとイタリアかどこか外国の文房具って感じがしますが、れっきとした日本製。新潟で作られています。
なぜ紙で紙が切れるのかについてですが、純度の高いパルプ繊維原紙を何層にも重ね、一体処理して作られた硬質繊維で出来ているからです。そのため硬質なのですが、質感はまぎれもなく紙。軽いくせに耐久性もあって、衝撃や摩耗にも強いとのことです。通常のナイフのように錆びたりすることはありませんが、経年変化で切れ味が鈍ることはあります。そんな時、どうやってお手入れするかと言いますと、単にサンドペーパーで磨けばいいそうです。
おニューな感じの商品に見えるかもしれませんが、実はこの硬質繊維自体は、明治時代からあるそうです。「バルカナイズド・ファイバー」と呼ばれていますが、剣道の胴台にも使われています。つまり約100年の歴史をほこる、新潟発のペーパーナイフなんですね。
なんだか見た目は葉っぱみたいですが、紙は植物から出来ているから、そこへの回帰を意味するのかと思いきや、結果的にそうなっただけのようです。ハンドルを握る手が刃の方へ滑らないように、中心部分を膨らませたのだとか。