と、ここで気づいた。「そうだ、パズルだ。パズルなら老若男女が楽しめる」と。与えられたピースを試行錯誤して組み立てて行く、いわば構造と表現の玩具。老いも若きも、スピードはそれぞれだろうが、等しく楽しめる。私の知人は、学生時代に同棲していた彼女との共通の趣味がジグソーパズルだったりした。つまり、男女間にも優劣の差はないのだろう。
とはいうものの、どんな絵になるかとかピース数にこだわるのでは、面白みがない。だってそれは、完成すればオシマイとなってしまうワケだから。ブチのパズルのような、シンプルなものの方が、年端もいかない子の知育玩具として、また大人のセンスを試すアイテムとして、望ましいのではないだろうか。

重さ: 約 540 g
素材: 広葉樹
税込価格: 7,344円
オムロンの体温計や無印良品のソファーをデザインしたことなどで知られるプロダクト・デザイナー、柴田文江さんが、木工メーカーである酒井産業(長野県)とコラボレーションして、ブチのパズルは2012年に開発された。ブチとはすなわち、木の淵。柴田さんは、ご実家が織物業を営んでいたというだけあって、クラフトマンシップ溢れる仕上がりになっている。
積んだり並べたりするのはもちろん、形を合わせたり、色を合わせたり、その遊び方は一定の枠に収まっていない。遊び終わった後には、輪投げのように棒に差し込んでおけば良い。実に、知育性・簡便性に富んだ玩具ではないだろうか。

個人的には、子供用の玩具にありがちな赤や青などの原色が敢えて用いられていないということに、現代的なセンスを感じて好きである。